憲法をめぐる議論は、「改憲か、護憲か」という括りで語られがちです。けれどもこの括りは、中身のまったく違う話をひとまとめにしている面もあるように思います。
自衛隊を憲法に明記することと、九条二項を削除することは、どちらも「改憲」と呼ばれますが、目指す方向は同じではありません。緊急事態条項の新設、環境権やプライバシー権の明文化、統治機構の見直しも、それぞれ別の問題です。ある論点には賛成で、別の論点には反対、という人のほうがむしろ自然です。「改憲か護憲か」と一括りに問われたときの答えは、その人が何に賛成していて、何を考えているのかを、ほとんど伝えません。
そして憲法を変えるといっても、実際に手を入れるのは条文の言葉です。ある語を別の語に置き換えれば、政府に許されることの範囲が変わり、個人が守られる場面も変わります。
このサービスは改憲を勧めるものに見えるかもしれませんが、そうではありません。条文は、読むだけでは抽象的に感じられるので、一語を自分で選び直してみて初めて、「なぜ元の言葉だったのか」「変えると何が動くのか」が見えてくることがあります。
その意味で、書き換えてみて、評価をもらう試みは、変更を主張するための操作ではなく、条文を精読するための方法であり、現行の日本国憲法の良いところも明るみに出せる作業だと考えています。検討した結果「今の条文のままがよい」と確かめることも、同じように想定された使い方の一つです。
憲法に限らず、政策は賛成か反対かの二択の問題でありません。どの条文に、どの言葉を使うかというところまで考えて議論することで、その中身はよりよいものになっていきます。中でも憲法は、最も抽象的に語られやすい題材です。だからこそ、その作業を誰でも試せる場所を作りました。
条文の言葉を変えたり、新しい条文を加えたりしたら、「複数のAIでこの章を評価」を押します。
返ってくるのは、章全体への講評と、選んだ観点から見た利点と懸念、指摘のある条文へのコメント、そして条文単位の具体的な修正案です。修正案は元の文章との差分で確認でき、採用するかどうかを一つずつ選べます。どの提案を取り入れるか、そもそも何も変えないかを決めるのは、つねに書く人自身の選択です。
章ごとの評価のほかに、全文をまとめて評価することもできます。相談機能では、AIとやり取りしながら、「この条文はどう書き換えられるか」を検討していけます。なお、AIの評価と相談には、1日あたりの利用回数に上限があります。
同じ条文でも、何を大切にして読むかによって見え方は変わります。このサービスでは、立憲主義をめぐる五つの観点を「レンズ」として用意しています。
評価を実行するときは、この五つから一つを選びます。選んだ観点で、同じ文章を三つのAIがそれぞれ並行して読み、コメントを返します。つまり、五つのレンズを一度に比べるのではなく、一つの観点を三つのAIで読み比べる仕組みです。AIにも、学習データや設計に由来する傾向があります。一つの回答だけを正解らしく見せないために、複数のモデルの共通点と違いをそのまま読み比べられるようにしています。
コメントの中心は、その観点から見て何が足りないか、どこが曖昧か、という指摘です。たとえば「自由主義的・法的立憲主義」のレンズは、政府の権限の限界が条文から読み取れるか、権利の制約に歯止めが書かれているかを見ます。
(コメントの例)
「法律の定めるところにより」とあるため、制約の要件と限界が条文からは読み取れません。
なお、五つのレンズは、憲法を多面的に読むための枠組みです。現在は、自由主義的・法的立憲主義が主たる解釈でありますが、異なる意見を解釈するために他のレンズを用意しています。
現在使っているAIの構成は、サービス内の「このサイトについて」に掲載しています(品質や提供状況を見ながら、モデルと役割は変更する場合があります)。
AIは、考える材料を増やすための道具です。結論を代わりに決めるものではありません。次の点をご理解のうえでお使いください。
評価を実行すると、選択中の章または憲法全文と、入力した任意のコメントが、応答を生成するモデル提供者へ送信されます。送信は、複数のモデル提供者を一つの窓口から利用できるサービス(OpenRouter)を経由して行われます。相談機能では、送信したメッセージに加えて、回答に必要な文脈が同様に送信されます。機微な個人情報や、第三者に知られてはいけない情報は入力しないでください。
作成した草案は、最初はすべて非公開です。保存しただけでは、閲覧用のURLを知る第三者にも本文は表示されません。共有画面で明示的に共有を有効にすると、URLを知る人が全文を読めるようになります。さらに、ギャラリーへの掲載を申請することもできます。公開範囲は、いつでも自分で切り替えられます。
編集できるのは、作成時に発行される編集用URLを知っている人だけです。逆に言えば、このURLを知っている人はだれでも編集できますので、必ず控えたうえで、他人の目に触れない場所に保管してください。
ギャラリーには、論点の見つけ方を試せる作例を運営で用意しています。ほかの人がどんな条文を、どんな言葉で書いているかを読むこともできます。
全部を書き直す必要はありません。気になる一条を自分の言葉に置き換えてみてください。そうしてはじめて、憲法の議論は「改憲か護憲か」の二択から、条文の単位の検討に変わります。登録は不要ですので、まずは一条から試してみてください。
サービスの考え方、使っているAI、データの扱いについては、「このサイトについて」で詳しく説明しています。ご意見、お気づきの点、不具合のご報告は、お問い合わせからお寄せください。