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『仮説マップキャンバス』のプロトタイプを公開しました

作成者: PEP 事務局|2025/10/8 (水)

政策や社会事業は常に「仮説」です。そして通常、大きな仮説は、複数の小さな仮説群から成り立つ仮説として構成されます。こうした仮説群の関係性や全体像を図示したものを仮説マップ*と呼んでいます。

しかし実際に仮説マップを作成するには、複数の仮説の整理や階層の構造化が必要となり、とても大変な作業となりがちです。また、それぞれの仮説はあくまで仮の答えであり、それぞれの仮説について検証を行ってより強い仮説にしていく必要がありますが、仮説検証方法の考案やエビデンスの収集には一定の労力がかかります。

そこで PEP では、この仮説マップの作成を生成 AI によって支援する『仮説マップキャンバス』のコンセプトプロトタイプを開発しました。本プロトタイプでは、生成 AI が仮説の分解や検証方法の考案、エビデンスの収集をサポートし、仮説マップの検証・改善をより効率的に進めることができます。

本プロトタイプは以下の URL からアクセス可能です。

https://pep-hypothesis-map-canvas.replit.app/

(*) 仮説マップやその活用方法についての詳細は、馬田隆明 (2024) 『仮説行動』をご覧ください。

 本ツールの使い方

1️⃣ 仮説マップの生成

まずは、最初のたたき台となる仮説マップを生成します。画面上部の「初期生成」をクリックすると、仮説マップの最上位の仮説となる初期仮説を入力する画面が表示されます。

メイン仮説」に仮説の概要を入力し、仮説の「ドメイン」をビジネス・政策・研究のいずれかから選択してください。「サンプルデータを使用」の各ボタンをクリックすることで、各ドメインのサンプルデータで仮説を試すことも可能です。

また、「問題の背景(オプション)」以降のフィールドには、仮説に関連する背景情報やリソースの制約などを入力することも可能です(これらのフィールドへの入力は任意であり、重要だと思われる箇所のみ埋める形で問題ありません)。

必要な情報を入力したのち、「AI 生成開始」をクリックすることで、生成 AI が 2 段階の深さの仮説マップを自動で生成します。

(※ 画面上部の「空マップ生成」をクリックすることで、AI による補完が行われていない空の仮説マップを生成することも可能です。)

 

生成された各仮説をクリックすると、画面右側にその詳細が表示されます。ここから個別の仮説の編集ができるほか、以下に紹介する各機能を実行できます。

2️⃣ 下位仮説の生成

生成 AI による仮説マップ生成を利用して、2 段階の深さの仮説マップが生成されたあと、場合によっては特定の仮説をさらに深掘りして、さらに下部に位置づけられる仮説を特定したいというときもあるでしょう。

その際に使用できるのが仮説の自動分解機能です。各仮説をクリックして表示されるウィンドウで「自動分解」をクリックすることで、生成 AI がその仮説を更に一段階深く分解します。

(※ 「下部仮説を追加」をクリックすることで空の下部仮説を追加することも可能です。)

3️⃣ 検証方法の追加

検証方法を生成」をクリックすると、選択した下位仮説の検証に適した規模の異なる 3 つの手法を生成 AI が追加します。 「追加」をクリックすることで、手動で検証方法を追加することも可能です。

4️⃣ エビデンスの収集

簡易検証」をクリックすると、選択した仮説に関連する学術論文を中心としたエビデンスを生成 AI が収集し、仮説の簡易的な検証を行います(5 分程度かかります)。「追加」をクリックすることで、手動でエビデンスを追加することも可能です。

5️⃣ 整合性チェック

本ツールでは、仮説マップ全体の論理的整合性を簡易的にチェックすることも可能です。

仮説マップを開いた状態で画面上部の「整合性チェック」をクリックすると、仮説マップ全体の矛盾や前提の抜け漏れ、循環依存の存在を指摘します。やや的外れな指摘を行うこともあるため、内容を確認の上適宜修正を加えてください。

おわりに

本プロトタイプは、複雑な仮説の分解・構造化を生成 AI によって補助し、さらには仮説の検証方法の考案・エビデンス収集まで一括してサポートするためのツールです。

政策・社会事業の検討にあたり、どの仮説から着手すれば良いのか迷った際や、検討材料が散在している場合の「たたき台」としてご活用ください。

なお、生成 AI によって出力される仮説マップや提案内容には不足や見落としもあり得ます。必ず人間の目で内容を事後確認し、根拠や論点の有無などを批判的に精査・補完してください。

本プロトタイプを活用された際にはぜひ pep@ihj.global やお問い合わせフォームまでご一報ください。