政策アイデアは様々な人から多面的に評価してもらうことで、より良くなっていきます。しかし中々そうした外部からの評価を得ることはできません。また、政策を評価するときには目的適合性のみならず、公平性、持続可能性などの観点で評価することも忘れてはならないものの、油断をしているとチェックが抜けてしまいます。
そこで PEP では、最新の大規模言語モデル(LLM)を活用し、政策の多面的な評価と改善点を提案してくれるツールのコンセプトプロトタイプを作成しました。
このプロトタイプを使うことで、政策の多面的な評価を簡易的に実施することができます(以下は表示例)。
生成 AI の評価は完璧ではないとはいえ、自分の気づかなかった多面的な検討が行われ、ヒントを得られることも多いので、生成 AI を使った政策改善の一環の手法として簡易的にご活用下さい。
プロトタイプは以下の URL からアクセス可能です。なお、あくまで簡易的な評価であり、正式な評価ではない点についてはご承知おきください。
https://pep-quick-policy-checker.replit.app/
まず、政策の目的とアイデアを入力してください。
なお、政策アイデアがなくとも、「政策目的から政策アイデアを生成」ボタンで、政策目的や社会課題から政策アイデアの叩き台を生成することも可能です。
自分の政策アイデアがない、もしくは「他人の政策を評価してみてほしい」というときには、以下のようなツールも提供しています。
政策を入力した後に「政策を簡易評価」ボタンをクリックすることで、政策を8つの観点から評価し、そのうえで改善提案を行います。評価スコアは参考程度にしてください。
本ツールでは、LLM が各観点に基づいた政策評価を行ったのち、政策の改善提案を複数提出します。この後実行する「政策の再生成」において反映したい改善案に✅を入れてください。
各観点ごとに用意されている「政策を再生成」ボタンをクリックすると、選択した改善案を取り入れた政策アイデアが再生成されます。改善された政策はページ上部の「政策を入力」パネルに反映されます。
また、ページ下部の「選択した改善提案で政策を再生成」ボタンをクリックすることで、ページ内で選択したすべての改善提案を反映させた政策を再生成可能です。
特定の観点に関して、特に掘り下げて検証を行いたい場合は、各観点について「詳細評価」ボタンをクリックしてください。すると、LLM が該当する観点に関して賛成・否定・中立派の立場からシミュレートし、それぞれの意見を作成します。そのうえで、統合的な検証結果を表示することで、詳細な改善の方向性のヒントを知ることができます。
政策の各観点に関する学術的なエビデンスを知りたい場合は、各観点の「エビデンス検索」をクリックしてください。肯定的・否定的・中立的それぞれの立場から、政府機関のレポートや学術論文などを LLM が複数提示します。
LLM は実在しないレポートなどを提示することもあるため、提示されたリンク先をクリックすることで情報源の確認を行うことをお勧めします。
政策アイデアを考える際には、関連する既存の法制度との関係を把握することも重要です。場合によっては既存の法制度の改正が必要となる可能性もあります。
本ツールでは、入力した政策案に関連する法制度や、政策アイデアと憲法との整合性を調べることも可能です。ページ上部の「関連法制度の簡易確認」ボタンをクリックすると、ページ下部に LLM による分析結果が表示されます。
関連法制度の検索処理には時間を要するため、「関連法制度の簡易確認」ボタンをクリックしてから LLM による処理が完了するまで数分ほどお待ちください。
どんなに良い政策アイデアを提案できたとしても、実現のための予算・財源の見通しがなければ机上の空論となってしまいます。本ツールでは、「予算・財源の簡易確認」ボタンをクリックすることで政策実現に必要な初期投資やランニングコストの分析、財源の候補などを LLM に提案してもらうことも可能です。
このような予算・財源の分析において LLM は現実のデータからは大きく外れた値を提出することもあります。また、同じ政策案でも異なる計算結果を出すこともあります。あくまで最初の叩き台として参考程度に用いることをお勧めします。
あくまで簡易的な評価や分析ではありますが、行政や政策教育の現場などで本ツールを活用することで、皆さんが手軽に多様な角度から政策アイデアを評価・改善する一助となれば幸いです。
なお、生成 AI は膨大な情報分析を効率化し、多面的な議論や検証を促す一方で、全ての提案において現実性や中立性が保証されているとは限りません。本ツールはあくまで「こういう使い方もある」というコンセプト検証用・学習用のプロトタイプであり、使う際は、出典の確認や人間によるファクトチェック、倫理やバイアスへの配慮も行うことを強くお勧めします。
本プロトタイプを活用された際にはぜひ pep@ihj.global やお問い合わせフォームまでご一報ください。