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PEP Talk『政治と政治学のあいだ』を公開しました

作成者: Takaaki Umada|2024/4/24 (水)

PEP Talk『政治と政治学のあいだ』 - 著者の大井赤亥先生に直接インタビューで深掘り!を公開しました。

ぜひご覧ください!

 

本インタビューの文字起こし

※以下の文字起こし作成には、AI(Notta及びClaude 3)を利用しております。細部の表現や記述に動画との差異が存在する可能性がありますため、本インタビューの内容を引用される際は、本動画を参照した上で動画からの引用をお願いいたします。

「政治と政治学のあいだ」の著者・大井赤亥先生に直接インタビュー
馬田
本日は、2023年12月に『政治と政治学のあいだ――政治学者、衆議院選挙をかく闘えり』を出版された大井赤亥先生にお越しいただきました。この本は、政治学を学びつつ実際に衆議院選挙に出馬された大井先生ならではの、理論と実践の両面から考察された異色の一冊です。政治とは何か、理論的に振り返りながら、実際の政治活動について伺っていきたいと思います。

大井先生の研究と活動について

馬田
まず大井先生の普段の研究や活動について教えていただけますか。

大井
私は1980年生まれの43歳で、広島市出身です。大学と大学院では政治学を研究し、元々はイギリス政治が専門でしたが、5,6年前から日本政治についての論考をメディアに発表するようになりました。2020年4月に広島に戻り、衆議院選挙の候補予定者となって約2年間政治活動を行いました。2021年10月の衆議院選挙で落選し、その後の生活は大変でしたが、政治活動の様子を聞かれることが多かったので、去年12月に本書を世に問い、この2年間の活動を振り返りました。

本書執筆の背景と意図

馬田
本書のタイトル『政治と政治学のあいだ』が示すように、学術研究と実際の政治活動という二つの視点を重ね合わせて整理したいというモチベーションがあったのでしょうか。

大井
その通りです。政治学の研究と、実際の政治の世界に飛び込んだ経験を、別々のものとしてではなく、連続的な営みとして捉え、本にまとめることで読み取ってもらいたいと考えました。

本書の内容と読みどころ

馬田
本書は第1部から第3部で構成されていますが、まず第1部の理論的な部分の読みどころを教えてください。

大井
第1部は、1990年代以降の現代政治の見取り図を私なりに示したいという思いで書きました。日本の政治が混迷しているという声をよく聞きますが、それを説明できるフレームワークを提示できないかと考えていました。そこで、「一九九三年体制」という概念を提唱しています。55年体制崩壊後、「非自民保守系改革派」が登場し、日本の政党の政策的選択肢は、
自民党の「保守」、自民党を飛び出した「改革」、労組などに支持基盤を持つ「旧革新」の三つになったというのが私の主張です。

馬田
第2部では、2021年衆院選での大井先生の活動がルポのように描かれていますが、読んでほしいエピソードなどはありますか。

大井
立法府に人材を送り込む選挙の独自性について書いています。司法や行政には資格試験が課せられる反面、立法に携わる政治家にはそれがない代わりに選挙というプロセスを経なければなりません。そこで私は、できるだけ多くの人と対話しようと心がけました。特にコロナ禍で苦境に立たされた飲食業や商店街の方々との対話は、私の人生観を大きく変えるような経験でした。

若年層の政治参加について

馬田
本書では、若年層が政治をうまく使えていないという指摘がありましたが、若者が政治に訴えるにはどうすればよいでしょうか。

大井
国政選挙の投票率を見ると、60代が70%近いのに対し、20代は35%と大きな開きがあります。合理的に考えれば、政治家は若者票より高齢者票を重視せざるを得ません。しかし今後は今の若年層が有権者のボリュームゾーンになっていくので、若年層の政治参加が重要な課題です。例えば奨学金の問題で、学生が政治に圧力をかけられていないのが現状です。いかに若年層にとって政治の使い勝手を実感してもらうかが鍵だと思います。

政治理論と実践の乖離と接点

馬田
政治活動を通して、政治理論と実践の乖離を感じた点と、逆に理論が実践に生きていると感じた点はありましたか。

大井
頭でっかちな議論と現実との乖離は感じました。例えば、「脱成長」の思想は重要ですが、今それを掲げて選挙に臨めば確実に負けます。学問的な議論と実際の政治運営との乖離は大きいと感じています。一方で、雇用調整助成金のような制度の意義は、コロナ禍で実感を持って理解できました。

日本政治のビジョンについて

馬田
最後に、今後の日本政治を導くビジョンについてお聞かせください。

大井
これからの政治はますます人口減少や少子高齢化など「不都合な真実」に直面せざるを得ません。ビジョンを描くのは難しいですが、私たちにできるのは個別具体的な課題に真摯に取り組むこと。そうした現実との格闘や模索を通して、振り返ってみたら、おのずとビジョンが見えてくるのではないでしょうか。

夜空で最も明るい星はシリウスですが、デネブという星は太陽の6000倍の明るさを持ち、遠いゆえに地球からは暗く見えます。これからの日本社会を照らすのも、デネブのように自ら輝く一人一人の力だと信じています。皆さんとともにその一つになれれば幸いです。

馬田
今日は貴重なお話をありがとうございました。