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受賞作

受賞者スピーチ

選考委員コメント

女性の労働参加が一般的となり、コロナ禍での学校の一斉休校や保育園の臨時休園が相次ぎ、ベビーシッターの需要が増える中で起こった事件。本報道は、これをいち早く報じた。また、いわゆる「シェアリング・エコノミー」という業態の無責任さの追及、ネット社会におけるプラットフォーマーや口コミ・レビューのずさんなあり方、育児支援政策の理想と現実、政府がお墨付きを与えた事業者の社会的責任など、様々な論点に示唆を与えた。本報道は、最終的に関連政策実現の後押しもした。当事者の証言や様々な情報を遠隔地でも収集する取材方法、および複数媒体で発信して注目度を上げていく手法も含め、新たな調査報道のあり方も提起していることから、特別賞とした。

受賞者コメント

今回の報道は被害者や元関係者らの告発があってこそのもので、勇気を出して連絡してきてくださった方々に改めて御礼申し上げます。当初マスコミが注目しない中でSNS等で発せられた声を遠隔で取材した結果、当該企業の改善を促しただけではなく、国の専門会議が立ち上がり制度を動かすまでに至りました。直接企業に訴えて取り合ってもらえなくても、このようにジャーナリズムを通じて企業や国、社会が動くということを読者の方々に実感してもらえていたら光栄です。日本の保育政策やサービスには依然として課題が残りますが、政策や企業活動を監視することもジャーナリズムの重要な役割。そのような観点を評価していただけたのであれば嬉しいです。

  • 中野円佳(なかのまどか)

    1984年生まれ。東京大学教育学部を卒業後、日本経済新聞社に入社。大企業の財務や経営、厚生労働政策を取材。立命館大学大学院先端総合学術研究科で修士号取得、2015年4月よりフリージャーナリスト。厚労省「働き方の未来2035懇談会」、経産省「競争戦略としてのダイバーシティ経営の在り方に関する検討会」「雇用関係によらない働き方に関する研究会」委員。2017年4月よりシンガポール在住、2児の母。著書に『「育休世代」のジレンマ〜女性活用はなぜ失敗するのか?』、『上司の「いじり」が許せない』、『なぜ共働きも専業もしんどいのか〜主婦がいないと回らない構造』。東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍中。