Now Loading...

Now Loading...

受賞作

受賞者スピーチ

選考委員コメント

昨今ネットメディアを中心に、妊娠・出産・育児・不妊治療・子どもを持たない生き方などについて多くの報道が見られる。他方で、それらの問題の中でも、流産は既存の言説の多くが悲しさを示しており、どこかタブーで、一般的にも暗い印象を持たれがちだ。また、当事者発信も多くない。そうした中で、本記事は、とくに不妊治療中の流産について、もう少し気楽に話し、受け止める雰囲気があってもよいのではないかと、当事者の視線から従来とは異なったトーンで取り上げている。本記事では、流産のステレオタイプ的な悲しさ像とは違った声を出し、それによって不妊治療のイメージにも一石を投じていると見てとれる。主流メディアではあまり触れられない、センシティブな流産という話題を新たな角度で発信した点を評価した。

受賞者コメント

ジャーナリズムという言葉の意味さえよくわかっていない私のような人間のもとに受賞の報せが舞い込んできて、率直に驚きました。ごく個人的な体験を綴った「軽い読みもの」にも、ジャーナリズムの力が宿るのだと認められたような気がしています。インターネットメディアの危険性や質の低さなど問題点ばかり取り沙汰されておりますが、インターネット上にもすぐれた媒体や素晴らしい書き手が多数存在すること――中でも「軽い読みもの」とされるものに光をあて、正当に評価するこのような賞の設立を心から嬉しく思います。

  • 吉川トリコ(よしかわとりこ)

    1977年生まれ。名古屋市在住。2004年「ねむりひめ」で「女による女のためのR-18文学賞」第3回大賞および読者賞を受賞。同年、同作が入った短編集『しゃぼん』にてデビュー。『グッモーエビアン!』『戦場のガールズライフ』はドラマ化された(『グッモーエビアン!』はのちに映画化)。その他の著書に、『少女病』『ミドリのミ』『マリー・アントワネットの日記』シリーズ『夢で逢えたら』『余命一年、男をかう』などがある。