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【探究 × 政策起業】 政策を使ったアントレプレナーシップ教育の教員向けワークショップ実施レポート

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政策起業家プラットフォーム(Policy Entrepreneures’ Platform、以下 PEP) は、2025 年 7 月 27 日、主に高等学校、高等専門学校、大学の教職員を対象とし、政策を使ったアントレプレナーシップ教育のワークショップを Tokyo Innovation Base (TIB) にて実施しました。当日は、全国各地から教職員、教育関係者、行政の方々など 33 名にご参加いただきました。

本記事では、その開催の様子と参加者の声をご紹介します。

ワークショップ概要

日時: 2025年7月27日(日)10:00~18:00  (懇親会 18:15 ~ 19:30)

場所: Tokyo Innovation Base (TIB)

カリキュラム:50 分 × 4 回の授業・講義として構成した以下のカリキュラムについて、解説を加えながら実際に受講体験をしていただきました。

第 1 回 政治と社会と政策の関係を知る
第 2 回 社会課題を考える(課題を特定する)
第 3 回 公共政策を考える(解決策を作る)
第 4 回 公共政策を発表してふりかえる

なお、参加者のみなさまには、7/18(金)に実施した事前のオンライン講義(90分)にもご参加いただきました。



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ワークショップの狙い

政策起業を使ったアントレプレナーシップ教育とは?

「政策」というと、官僚や政治家の仕事だと思う人も多いかもしれませんが、政策は本来もっと身近な「ルール」です。私たちひとりひとりが、自治体や国の政策やルールに働きかけることで、身の回りの困りごとや、社会課題、生活課題を解決していくこともできます。
そして学生の皆さんが政策に対して主体的に関わることで、授業の『社会』や『公民』で学んだ知識を実践し、アントレプレナーシップを育むことにもつながります。

なぜアントレプレナーシップ教育で「政策起業」を使うのか?

ビジネスをテーマにした実践的なアントレプレナーシップ教育は、リアルな市場で大人たちと競い合うことになるため成功体験を得ることが難しく、自己効力感の獲得が難しいという課題がありました。また、社会起業をテーマにすると、取り組む課題が一般的になってしまい、事業で解決することが難しいものになりがちでした。さらに両者に共通して、授業後の継続が難しいという課題もありました。

政策起業をテーマにすることで、地域特有の課題を実際に解決できる可能性があり、学生たちも目の前の人が幸せになる様子を見られるなど、リアルな成功体験の獲得ができます。また良い政策であれば、自分たちが取り組みを継続しなくても、行政がその活動を取り上げ、継続してくれる可能性があるというメリットもあります。

さらに政策起業で必要になるスキルは、ビジネス起業で必要となるスキルと共通するものも多分に含みます。例えば、政策立案の過程でも「課題分析」「仮説検証」「顧客インタビュー」などの知識やスキルは必要不可欠です。このように、従来のアントレプレナーシップ教育の目的も達成できるほか、授業の『公民』の知識の活用や地域社会との接続の機会にもなると考えています。

そうした思いのもと、PEP では生徒・学生の皆さん向けに政策を題材にしたアントレプレナーシップ教育を行うことで、国や地域のこれからの社会課題解決の担い手である『政策起業家』を育成していきたいと考えています。

今回のワークショップでは、オンライン事前講義で基本的な知識を学んでいただいたうえでご参加いただき、政策を使ったアントレプレナーシップ教育の教材の使い方を学んだ後、先生方が実際に教材を用いて自校で授業を展開できるようにすることを目的としました。

グループワークで課題を深掘りする

ワークショップでは、講義のほか、4名(または3名)のグループに分かれてグループワークを行いました。

最初の自己紹介からはじまり、グループごとに課題を分析したり、ナレッジ共有を行ったりする中で、新たな気付きやアイデアが生まれ、最後はどのグループも活発な意見交換をする様子が見られました。


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懇親会

ワークショップ終了後には、自由参加の懇親会も開催し、貴重な情報交換、ネットワーキングの場となりました。

全国各地で奮闘されている先生方、それも様々な教科や立場、学校種の方が参加されており、刺激と励みになりました、といった声も聞かれました。

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参加者からの感想(一部)

  • 生徒たちが学ぶ内容を、自分たちが実践・体験してみるという形が新鮮でした。そのため、大人の自分たちでも難しい点や、生徒だったらどんな発言が出るかといったイメージがしやすく、実現可能性が高まったと思います。
  • 政策起業のアントレプレナーシップ教育の展開の可能性を感じました。創造性、社会性を高めるプログラムとして展開していきたいです。
  • 政策起業までのプロセスを体験することができました。また、全国の先生や行政の方と話す中で、互いの視点の違いなどを感じれて面白かったです。
  • こうした素晴らしい教材、授業を実行していくためにも、授業や生徒対応に注力するための学校の働き方改革を進めて行く必要があると思いました。

おわりに

参加いただいたほとんどの教員の方から今後、授業へ取り入れてみたい、積極的に検討したい、とのご意見をいただきました。

「探究 × 政策起業」というこれまであまり馴染みのないキーワードであったと思いますが、実は学生の皆さんがより身近な社会問題に主体的に向き合い、政策に関わることで、そこから成功体験や実際に自己効力感を得ることができます。また、先生方にとっても授業の『公民』の知識を活用できるほか、地域社会との接続の機会を得られるメリットがあると考えます。

今回のワークショップでは、参加者の皆さんが体系的に政策起業について学び、実際に教材を使って政策起業までのプロセスを疑似体験したことで、多くの発見や課題を得て、よりいっそう政策を使ったアントレプレナーシップ教育への理解が深まったことと思います。

今後、先生方が今回の教材を用いて政策を題材にしたアントレプレナーシップ教育を行っていただくことで、国や地域のこれからの社会課題解決の担い手である『政策起業家』を育成できることを願っています。

本イベントは、一般財団法人 三菱みらい育成財団からの助成を受けて実施いたしました。