「PEPサミット2021~扉をひらこう」開催概要④...
「PEPサミット2021~扉をひらこう」開催概要③
「PEPサミット2021~扉をひらこう」開催概要③
2021年10月5日(火)、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)が開催した「PEPサミット2021~扉をひらこう」のSession2の動画・レポートです。
Session 2-A 政策のPDCAサイクル
- 【モデレーター】
朝比奈一郎 青山社中株式会社 筆頭代表CEO
- 【登壇者】
桑原祐 マッキンゼーアンドカンパニー シニアパートナー
辺誠祐 長島・大野・常松法律事務所 パートナ―弁護士
松尾豊 東京大学大学院工学系研究科 教授
Session 2-Aでは、政策を有効に行う上で欠かせない「政策のPDCAサイクル」について議論しました。霞が関でも行政評価法の成立といった変化もありましたが、日本の政策の事前・事後チェック文化の弱さ、そしてスピードの遅さは未だに課題として残っています。Session 2-Aでは、政策のPDCAサイクルについて、特にCheckからActionに至る段階の弱さと、全体のサイクルを回すスピード感の遅さが課題として議論の中心になりました。
霞が関のPDCAサイクル
DXなど環境の変化が激しく先行きが見通しにくい現在、PDCAサイクルを早く回す必要があります。その一方で、一旦予算や人員が配分されると実行力は高いものの、コロナ対応をはじめとする、日本の有事への対応は弱いのが実情です。また民間企業のように株主総会で強い監視に晒されないため、霞が関にPDCAサイクルがあまり定着せず、そのスピード感も遅くなっている点が指摘されました。
PDCAサイクル改善のために
その上で、PDCAサイクルを早く回すための提言として、
①Check機能は内部だけでは甘くなるため外部の有識者を入れる
②後ろ向きな「嫌がらせ的チェック」ではなく、より前向きに改善に繋がる、KPIに限らない新たな指標を用いた視覚化・モニタリングを行う
③PDCAサイクルから得た知見は個人ではなく組織にプールする
④国民にメリットを感じてもらうため透明性を確保する
などの点が挙がりました。
またPDCAサイクルのスピードについても、コロナ対応など緊急性を要するものやTrial & Errorが許されるものについては早く回し、そうでないものは時間をかけてサイクルを回す、などの区別も有効であると指摘されました。
Session 2-B 「経済人のつくるエコシステム」
- 【モデレーター】
藤沢烈 一般社団法人RCF 代表理事/ふくしま12市町村移住支援センター長
- 【登壇者】
小林りん 学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン 代表理事
佐俣アンリ ANRI 代表パートナー
山田進太郎 株式会社メルカリ 代表取締役CEO
Session 2-Bでは、経済人の皆様が取り組まれている本業以外での社会貢献に携わる想いを伺い、またそうした社会貢献の輪を広げていく為に必要な方策について議論しました。
社会貢献に携わる想い
理系分野に進学する女子の高校生を支援する財団を設立した山田進太郎氏は、企業としての社会貢献で解決できる範囲に限界を感じ、企業でのノウハウを活かしながら財団という形で奨学金を出すと安定的な支援ができるのでは、という実験的試みとして事業を始めたといいます。
寄付を募るという手も一般的ですが、小林りん氏は企業からの寄付者を理事や評議員として学校運営にも巻き込むという大胆な手法を取りました。ガバナンスやリスクマネジメントといった経済人の専門性を活かしつつ、学校の発展を円滑に進めています。
佐俣アンリ氏は個人で毎年1000万円を定期的にNPOに寄付することを公言しています。この活動の目的として、「日本において寄付という活動を公言していく流れを作りたかった」と述べています。社会に表明することで、共感する人に響くように、そしてそこから新たな寄付が生まれるという流れを作る目的がありました。
エコシステムを広げるために
またエコシステムを広げていく上では、寄付などを入口としつつ、そこから運営により深く関わっていく流れが提示されました。実際若い起業家でも、寄付だけではなく運営に繋がったりプロボノとして社会事業に取り組むことに魅力を感じる人も増えているそうです。さらにコロナ禍でのリモート化や副業・兼業の浸透もあり、今では本業の傍らで社会貢献をするという形が増えています。
また、このように経済人とソーシャルセクターとの関わりが増す中で、ソーシャルセクター自身が収入を得られるキャリアパスとして認知されることの必要性についても言及されました。未だにソーシャルセクターは手弁当で関わるものとの認識が強い中、ソーシャルセクターの側も、経済人や政策起業に携わりたい人々も関われるプラットフォームやエコシステムとして整備していくべきとの意見も出されました。加えてそのコミュニティの中で、支援の現場からの声と資金を提供する経済人との間で課題意識を共有する必要性も挙げられました。