2024年5月から6月にかけて、品川女子学院の中高生計32名を対象に、全4回(各日90分)の政策起業を題材にした出張授業「特別講座 政策起業ワークショップ」を実施しました。
さいたま市立大宮国際中等教育学校 政策起業出張授業実施レポート
政策起業家プラットフォーム(Policy Entrepreneur's Platform、以下 PEP) は、2024年12月2日、5日に、さいたま市立大宮国際中等教育学校の5年生の「公共」の特別授業として、政策起業を題材にした出張授業「政策起業とは何か?」を実施しました。
本出張授業の位置付けと狙い
今回出張授業を実施させていただいた大宮国際中等教育学校では、公共の13の主題を学習したうえで、総括的課題としてその中から生徒が取り組みたい社会課題を見つけ、その深掘りや解決に向けた提案を考える、という取り組みをされています。そこで本授業は、生徒のみなさまに「政策起業」とその取り組み方について知っていただき、今後総括的課題に取り組む際「政策」を一つの解決策として考えていただけるようになることを目的に、設計いたしました。
授業構成
授業では主に 3 つのパートに分けてお話をさせていただきました。また、講義に複数のミニワークを組み合わせる形で実施しました。
まずパート 1 では、政策起業にまつわるニュースやさいたま市の政策をお見せしながら、政策や政策起業とは何か?という基本的な知識をお話して、政策が身近なものであること、高校生の立場でも影響を与えられるということをお伝えしました。
パート 2 では、「社会課題を発見する ➡ 見つけた社会課題の原因を深掘りする ➡ 解決策としての政策を考える ➡ 実現に向けて提案する」という政策起業の一連のプロセスを、具体例を交えながらお伝えしました。この中では、課題の特定やその原因分析 及び 類似の政策のリサーチといったミニワークも取り入れ、生徒のみなさまにも実際に手を動かしていただきました。
最後にパート 3 では、「子ども宅食」という政策起業の実例をご紹介し、特に考えた政策がしっかり運用されるようになるための働きかけも必要、ということをお伝えしました。
生徒からの感想(一部)
- そもそも政策起業という言葉を知らなかったのですが、今回のワークショップを通してそれがどのようなものを知ることができたので思考の手順などを自分の課題(授業で取り組んでいる総括的課題)に生かせるかなと思いました。
- 課題を見つけ、それを政府や行政に提案することで改善できる方法を学びました。今までは課題点を高校生の私たちが自分たちでできる範囲で改善する方法を考えていたけど、政策としてまとめることでより課題解決の幅が広がるなと思いました。
- 個人でも政策起業という手段を使えば社会課題の解決につなげられるという点が興味深かった。単に政府に要望を伝えるよりも、自分で行動したほうが直接的に課題へアプローチできるというところが魅力的だと思った。
- 課題の原因を書き出す方法を使ったことでどこに注目して課題解決に繋げていくかがとても分かりやすくなった。一つの問題には細かい原因がたくさんあり、どの部分のアプローチするかなかなか決めることができないのでこの先の課題(授業で取り組んでいる総括的課題)でぜひ活用していきたい。
- 私たちのような一般市民でも公的な課題を解決することができるのだとしることができました。当然、公的な課題を解決するには具体的なプランを考えより現実的なものを形作ってからではないと公共機関は動かないということがわかりました。私の行っているプロジェクトも教育委員会や議会など公的な機関とかかわらなくてはならないものなので今回のお話は非常に参考になりました。今回聞いたことを糧に自分のプロジェクトのプランをもっと煮詰めていきたいと思いました。
※括弧書きはわかりやすさのため、PEP にて追記
PEP 所感
「政策起業」はほとんどの生徒のみなさまにとっては聞きなじみのないキーワードだったようですが、ミニワークを含め真剣に授業に取り組んでくださる方も多くいらっしゃいました。Q&A セッションでは「政策起業に取り組んでいる学生はどのくらいいるのか」「最初の一歩として何ができるのか」「自分たちのプロジェクトはどうしたらよりよくなりそうか」といった質問もあり、生徒のみなさまの政策起業や社会課題解決への関心は少なからず高まったのではないかと拝察しました。また、同学では総合的な学習の時間を通して各自がプロジェクトに取り組んでいるそうで、そうしたプロジェクトの出口として、政策という方法もあることを意識していただけたのであれば嬉しく思います。
最後に
現在 PEP for Youth では、2025年4月~2026年3月に実施する出張授業のご相談を受け付けております。今回実施したような公共などの授業内での講義の他、ワークショップ主体の実施も可能です。また、20名以上のご参加をいただけるようであれば、課外活動として希望者のみに対する実施なども可能です。助成金等の関係ですべてをお受けすることはできませんが、ご関心をお持ちいただける場合は、以下のフォームよりお気軽にお問合せください。