PEP Talk『官民共創のイノベーション』 - 編著者の中原 裕彦氏、池田 陽子氏に直接インタビューで深掘り!を公開しました。
PEP Talk『「働き手不足1100万人」の衝撃』を公開しました
PEP Talk『「働き手不足1100万人」の衝撃』 - 著者の古屋 星斗氏に直接インタビューで深掘り!を公開しました。
ぜひご覧ください!
本インタビューの文字起こし
※以下の文字起こし作成には、AI(Notta及びClaude 3)を利用しております。細部の表現や記述に動画との差異が存在する可能性がありますため、本インタビューの内容を引用される際は、本動画を参照した上で動画からの引用をお願いいたします。
馬田
PEPディレクターの馬田です。PEP TalkはPolicy Entrepreneur's Platform、略してPEPを行っている政策起業家のための動画とポッドキャストです。今回は2024年1月に、『「働き手不足1100万人」の衝撃』をまとめられたリクルートワークスの古屋さんにお越しいただきました。いよいよ人手不足による賃金上昇が日本でも起こりつつあります。ただその先には大きな社会課題が待ち構えているとも言われています。あるいはそこには大きな機会もあるというふうに今回は古屋さんに伺っています。年金や社会保障よりも大きな問題だとされるこの人手不足について今回お話を聞きながら知見を深めつつ、ぜひこの本を書かれた背景にある古屋さんの危機感、思いそして希望について知っていただければというふうに思います。ぜひお聞きください。PEP Talkの時間です。今日はリクルートワークス主任研究員、かつ一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事の古屋さんにお越しいただきました。古屋さんどうぞよろしくお願いします。
古屋
よろしくお願いします。古屋と申します。
馬田
このたび2024年1月に『「働き手不足1100万人」の衝撃』という衝撃的なタイトルの本をご出版されて、ぜひこのあたり今日お伺いできればと思ってますのでよろしくお願いします。
古屋
よろしくお願いします。
馬田
では早速ですが、もう古屋さんのことご存知テレビとかでご存知の方もいらっしゃると思いますが、もしよければ古屋さんからぜひ普段はどのような研究をされていてどういう活動をされてるのか自己紹介も兼ねてお願いしてもよろしいでしょうか?
古屋
ありがとうございます。古屋 星斗と申します。リクルートワークス研究所主任研究員、一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事を務めております。ひととしごとの研究者というふうに自認しておりまして、やっぱり日本という国を考えたときに、人が唯一にして最大の資源であるということを私は常々、様々な機会で、考えることが多くてですね、その人という日本唯一にして最大の宝物をですね、どのように盛り上げていけるのか、どのようにもっと輝かせていけるのか、そして持続可能な社会、日本をどう作っていくのか、世界をどう作っていくのか、こういった研究をしてる人間でございます。元々PEPさんとね、関係のあるところで申しますと、元々経済産業省というところで働いておりまして、7年前に転職をして、今の仕事に就いております。本日はよろしくお願いします。
馬田
よろしくお願いします。その人に関するご興味関心ちなみに古屋さんいつ頃からあったんですか。
古屋
私大学院までストレートで行ってしまってこれが私の人生の間違いの始まりだったんですけど、そのとき既に教育社会学を専攻しておりましたので、そのときにはもう人に対して強い関心があったということですよね。何か様々な高校時代とかにもね、あの国会議員の討論会の司会をしたりとか、その地元の経営者の方々に話を伺いに行ったりとかですね、そういう意味で人間が何か考えて、何かを取り組んでこの社会ができてるわけですから、どんな取り組みをこの社会に生きる人々がしてきたのかなってことは結構昔から関心があったかもしれませんね。そういう意味では、人のお話を聞くということがすごく好きで、趣味と実益、仕事と実益を兼ねて、本当何千人という方々のインタビュー録みたいなものも、手元にあったりとかして、そういったものを横目に見ながら、本を書いたりしておりますね。
馬田
なるほど。今日は逆にインタビューされる側に回っていただいて大変恐縮ですけれど。インタビュースキルが試される感じがします。
古屋
人柄出ますよね。インタビューをするという。
馬田
そうですよね。どうしても上手い下手も結構出ちゃうので、下手だなって思われないように気をつけます。
古屋
馬田さんのお話はもうね、馬田さんのご著作も拝読させていだきましたけれど、やっぱり実行力と構想力の方ですので、私は今日本当に楽しみにこの機会をお待ちしておりました。
馬田
ありがとうございます。今回書籍としては働き手不足の本に関するインタビューですが、元々別の領域も結構中心にされてたという認識ですが、それで間違いないでしょうか?
古屋
私自身はひととしごとの研究者ということで、特に特定の専門領域とか設けずにあえてですね、これは自分の専門でないのでわかりませんということではやっぱり現代社会には太刀打ちできないと思うんですよね。研究の世界に。ですから、現実問題、様々な社会課題に対して、それに取り組んでいくために、様々な学問領域の方々と、協働しながらですね、取り組んでいくということで、私も一つそういう意味では、もちろん中心で研究していた部分ってのはそれはあるわけですけど、そういった意味では、次世代のキャリア作り、次世代の労働社会ということで、若手に注目してですね、若手のキャリア形成とか若手の育成とかですね、若年労働市場とか、こういったことも研究していますね。
馬田
そこから今回ちょっと未来という意味だと同じですし人の働き方みたいなところだと同じだと思うんですけど、働き手不足みたいな、少し別の領域にも手を出されたのは、そういうもう全部やりますみたいな感じの背景だったのかなと今日お話伺って思いました。今回のメインのトピックである『「働き手不足1100万人」の衝撃』というところにぜひ入っていきたいんですが、こちら簡単な概要を、まだ読んでない方いらっしゃるかもしれませんのでぜひ教えていただいてもよろしいでしょうか?
古屋
日本が今後15年ぐらいですね、構造的な人手不足に直面するだろうという、そういうシミュレーションに基づく予測をした本ですね。労働市場の劇的な転換点を日本は超えたわけですが、その転換点を超えた後の日本に起こることは何かということを指摘し、それを乗り越えるために、座して待つと、生活が大変で仕事どころじゃなくなるというのはもうほぼ間違いなく来るわけですけど、そういった状況に座して待たないために何ができるのかという解決策を提案するという本ですね。
馬田
なるほど。そういうかなり熱い思いがあって書かれたっていうふうな本なんですね。
古屋
はい。本当に様々な地域、様々な人手不足の現場というのを回っていて、もうこれはちょっと本気で考えなくてはいけない。つまり、今後日本が高齢化、人口減少局面を迎えるわけですけど、もっと言えば高齢人口が、ものすごく膨らんでいくフェーズに入っている中で、年金の問題や社会保障の問題よりも、全然考えるべきことがあると。つまり、それは生活維持サービスの人手不足に起因する問題が、大きくなっていく。これに対して、ほとんど何の検討もされてない。日本の人口動態の変化によって、労働市場に何が起こるのかということを私は考えてるんですよね。その労働市場に起こることは、この社会に生きる人って全て自分の生活を回すために誰かの労働を消費して、生活を維持してるわけですよね。我々は誰かの労働がなければですね、ゴミ一つ捨てられないわけですから、そういった意味では生活維持サービスの労働市場の逼迫ということが今後否応なく人口動態の変化によって起こされる中で、この問題を、年金とか社会保障とかですねそういった問題以上に考えなくちゃいけない。でも、実は何が起こるかよくわかってないんですよね。高齢化によって労働市場に何が起こるのかってのは全然わかってない、検討されてきてない。そういったことを今研究している人間が私ですね。
馬田
なるほど。その社会保障よりも重要ではないか、みたいな提案に関しては、私も初めてそういう話を聞いたというか、実際に今ちょっとずつ顕在化してきている、ちょっとずつというわけではないと思うんですけど、でもそれが社会保障よりも大きな問題になっていくんだみたいなというところに関してはなかなか実感として持ってる人はそこまで多くないのかなというふうに思っていて、ぜひこの辺りをこの後、いろいろとお聞かせいただければと思うんですが、その前に、今お話の中で、結構いろんな方にインタビューしていく中でこの問題に気づいたっていうふうなお話もあったかと思いますが、そうしたその著作を書かれた背景というふうなところ、初めにもにも記載があったかと思いますが、著作に至るまでにどういうことがあったのかぜひお伺いしてもよろしいでしょうか?
古屋
これ元々2022年度にリクルートワークス研究所の中核的な研究の一つとして取り組まれた未来予測2040という研究があって、その最新の研究結果まで盛り込んだ書籍というのが、2024年の1月に出した『「働き手不足1100万」の衝撃』という本なんですよね。その元々の未来予測2040というのは、まさに今現場で起こってる人手不足が行き着くところまで行き着いたらどうなるのかという私の非常に大きな危機感をベースにして、一言で言うと労働供給制約社会が来るんじゃないかという仮説のもとで始めた研究だったんですよね。労働供給制約って何かっていうと、つまり今起こってる人手不足って、今凄まじい人手不足、東京にいるとあんまり実感ないかもしれませんけど、この問題って、東京だとかヘッドクォーター、本社、もっと言うと霞が関とかですね、一番縁遠いわけですよ。この問題に対して。霞が関ってホワイトカラーですし、基本。生活維持サービスじゃないじゃないですか。ちょっと失礼な言い方しますけど、霞が関の方が全員いなくなってもですね、率直に言ってあんまり生活的に困らないですよね。もちろんね、中長期的には困りますけど、ものすごく。ですけど現場の警察官の方とかね、介護福祉士の方とか、薬剤師の方とかトラックドライバーの方とかがいなくなった瞬間に我々の生活が破綻するわけですから。そういう意味ではこの話って一番縁遠いのが東京のヘッドクォーターなんですよね。大手企業の本社とかもそうですし。一番共感されてるのが地方の現場ですよね。そういう意味ではぜひ、まさにこのお話を聞いていただいてる方に聞いていただきたい話でもありますし知っていただきたい話もあるし、私は同時にそこに日本の最大の危機と希望があると思ってるんですよね。質問に答えてないかもしれませんけど、こういう背景でございます。
馬田
リクルートワークスさんの研究のレポートも確か昨年2023年に出されていて、動画で5分でまとめていらっしゃるあたりもあって、成果物をきちんとアピールしていくみたいなところなのかなというふうに思っているんですが、ただ今回本になったことでより多くの人たちに届くんじゃないかなというふうに思っていて、ぜひこの辺りを少しこの後も聞かせていただければというふうに思っています。書籍の方にちょっと入らせていただくと書籍として3部構成になってるのかなと思っていて、一部が課題のところを分析していくパート、それに対する提案としての解決策が第2部になっていて、最終章が今後の未来に向けてこういう提案みたいなというもう少し広く、長く見ていくっていうふうなところなのかなというふうに思っていて、ぜひその課題のところに関してまずはお伺いできればと思っております。課題を整理されていく中で、特にこの辺読んでほしいっていうところを古屋さんからもしあれば、まず教えていただいてもよろしいでしょうか?
古屋
我々の研究の大前提がですね、労働の需要と供給のシミュレーションを行っているということですね。労働の需要と供給、つまり労働市場全体がどういった構造になっていくのかということを、数理的モデルを構築してですね、シミュレーションを行っております。この結果として2030年に340万人規模、2040年にですね1100万人規模の人手不足、働き手不足、硬い言葉で言えば労働需要超過が起こるということがわかっている、という点が一点。もう一点はそれを職種別やってるんですよね。先ほども申し上げましたけど、我々はですね、働き手不足人手不足だというふうに平板に言われますけど、その中で特に絶対に不足してはいけないところとして生活維持サービスということを指摘してるんですよね。生活維持サービスがないと我々仕事どころじゃないわけですから。たとえ生成AIの素晴らしい研究をされてるとか、航空宇宙の分野でもうすごくイノベーティブなことされてるっていう方がいたとしてもですね、もし介護福祉士の方がその地域からいなくなって、親御さんの介護をする方がいなくなったとなったら、仕事どころじゃないんですよね。AIの研究だとか、宇宙工学だとか言ってられないわけですよ。ご家族の介護をしなければいけない。こういった状態が日本に迫ってるわけですよね。という問題意識、既に地域で起こりつつある介護難民の問題とかですね、本当介護事所の閉鎖とか本当に相次いでますから。こういった問題が引き起こすことというのを、やっぱり何らかの根拠を持って議論すべきじゃないかということで、この生活サービスの各職種、7職種代表的な職種を選んでるんですが、ドライバー職とか介護職とか、医療従事者の方々とかですね、選んでるわけですけれども、建設作業員の方々とか。これを個別にシミュレーションしてるということ、これが2点目ですよね。どれぐらい不足するのか、どれぐらいのインパクトがあるのか。この不足率に基づいて、3点目なんですが、その日本の2040年の日本の生活の姿ということをミクロに描写しているというページがございます。不足率がわかるので、その不足率になるとどれぐらい生活サービスが切り下がって実生活にどういった影響があるのか。いろいろと細かく各職種の影響をそれぞれ書かせていただいてますが一言で申し上げれば、生活がしんどすぎて、仕事どころではなくなると。座して待ってるとですね、もうほぼこうなるのが間違いないわけですよね。既にそうなってしまっている現場も出てきているわけです。課題面という意味では、あわせて申し上げれば、生活効率が低下するということは、経済効率が低下することなんですよね。例えば千葉県市原市の話をNHKさんが報道されてましたけど、バスの本数が減ってるじゃないすか、首都圏でも。地方でもそうなんすけど、ドライバーさん全然いないので、バスの本数が減ったりとか、廃線が相次いでますよね。これによって市原市で廃線してしまった便を使っていた介護福祉士の方がいらっしゃって、その方がですね、通勤時間が倍になったと。2時間になったと、1時間から。こういうことが起こっているそうです。結果としてですね、短時間勤務になっちゃったと、その介護福祉の方は。そうですよね。ご自身の生活もありますし、仕事の時間を短くして切り上げて帰ってきていらっしゃる。要するに、生活維持サービスにおける担い手不足というのは、担い手不足を加速させるんですよね。生活効率が低下することによって、労働供給量が減ってしまうわけですよ。労働供給量ってGDPの重要なファクターなんですよね。ご存知の通り。総労働投入量×生産性なわけですから、労働投入量に天井を作ってしまうかもしれない。その天井を下げてしまうかもしれないというのが、この生活維持サービスにおける人手不足の最大の厄介なところですよね。悪循環ですよね。そういう意味では。
馬田
本当に悪循環になってしまいますよね、今の話聞いてると。フレーズとしても生活が忙しすぎて仕事どころではないっていうのはなんかすごくキャッチーでわかりやすくて。本当に切実な問題というか、これが何かうまく伝わらないと、これに対する対策を今から打っていかないと、なかなか難しい状況がもうくるということですもんね。
古屋
既に起こってますよね。コロナ前から既にそういう人手不足四天王と僕は呼んだりしてるんですけど、介護医療物流、そして建設。こういった我々の生活にも直結するマストの担い手の方というのはもう著しい人手不足。コロナ後はもっと激しくなってるわけで、地方の介護現場の話を伺っていると、おそらく早晩、比較的大きめの都市で起こるのは、介護に関する等級が比較的軽度の介護が必要だとされる方々に対する受け入れ先がなくなっていきますよね。こういう危機感が私にありますね。認定を受けてからのリードタイム、受け入れまでのリードタイムが長くなってるですとかそういう話を聞くにつれ、この延長線上に、後2、3年もするとそういった問題が要支援の方に対する介護サービスの受け手がいなくなるだろうなという危機感がありますね。
馬田
なるほど。かなりそういうのが今じわじわと来ていて、どこかで爆発するかもしれないというふうなところもあるのかもしれないなと今聞いて思いました。一方で何か今の日本の現状メディアとかを見ていると割と需要が過剰になってくるとそれは賃金を高めるからウェルカムだみたいなニュアンスも一部あったりするのかなというふうに思うんですけれども、そこに対して古屋さん何か思うところってあったりされますか。
古屋
全くその通りで、経済学者グッドハートとかが言ってるわけですが、高齢化っていうのは総需要を増やすと、私も完全同感なんですけど、なのでインフレもたらすっていうこれかなり少数派の意見だったんですがでもそれが日本において実証されつつありますよね。私だから令和の転換点と呼んでるわけですよ、今の状況というのは、令和の転換点であると。つまりアーサー・ルイスが言ったルイスの転換点に次ぐ人口動態に起因する近代以降の人類社会の2回目の転換点だというふうに、最近申し上げていて、ルイスの転換点の引き金を引いたのは、農村人口がいなくなりましたと、みんな都市部の工場労働者になりましたということによって賃金が上がり始めるよというのがルイスの転換点。農村人口と都市部人口のバランスの変化が引き金だったわけですけど、令和の転換点のトリガーって、おそらく85歳以上人口が増える比率が上がったってことだと思うんですよね。ご高齢になればなるほど、特に80歳以上に顕著なんですけど、やっぱ労働の消費量が増えるわけですよ。医療介護なんか想像されるとすごくわかりやすいですが、医療なんかですと、年間外来受診日数34日、85歳以上の方、現役世代9日間ですから、全部で4倍ぐらい消費されてるわけですよね。単純計算として。こういったことがもたらす構造的な人手不足が日本に転換点をもたらしていて、それによって私はトリプル増になってると思っていて、つまり、賃金と物価と設備投資、この三重増になってるというのがこの令和の転換点の第1フェーズだと思ってるんですよね。第2フェーズもでもあると思ってるんすよ。
馬田
どういうことでしょうか?
古屋
つまりこのトリプル増のフェーズで、何かうまくこの社会全体のシステムを切り替えられないと、どっかで特異点がシンギュラリティがあると、生活維持サービスにそれが回らなくなるその度合いがですね、ひどくなっていくわけじゃないですか今後中長期的に。どっかの段階で、もうキャズムがあると。つまり、例えば、台風が通り過ぎた後、停電が起こるけど、その停電が1ヶ月復旧しないとかですね、真夏の、東京で。こういうこれまでだったら維持できていたものが、一気に維持できなくなるみたいなこと。もっと言えば、そういった生活効率の低下によって、経済効率が低下してさらに生活効率が低下するみたいな悪循環が起こり始めて、今実際にちょっと見えてきてるのは設備投資とかが、人手不足でできないって会社ができてきてるわけですよね。設備投資計画に対する実設備投資のギャップがすごい開いていて12年ぶりの大きなギャップになってるわけですけど、その理由を探っていくと日経新聞さんなんかは人手不足が背景にあるっていう指摘をされています。つまりこれって最悪の悪循環で、生産性を上げるしか手がないわけですよね。今後の日本というのは。1人当たりの労働供給量を、いろんな手を使って高めていくってことしか手がないわけですけど、その中で設備投資って最大のパーツなんですよね。生産性を上げられるわけですから、ダイレクトに。なんですけどその生産性を上げるための設備投資ですら人手不足でできなくなってくるっていう。新しい機械を入れても、それを動かせる人がいないとか、そもそもそこに回せる人員がいないとか、それに教育をするための人員がいないとかね。
馬田
本の中にもその生活維持サービスのために人がどんどんそっちに流れていくと今度イノベーションを起こせる人材、イノベーションを起こすようなところに人が入れなくなるみたいな、そういうご指摘もあって、それがなんか悪循環に繋がっていくのかなっていうふうに今もお話伺ってて思ったんですが、、イノベーションに回せなくなってあるいは設備投資しようにもそこに人がいないみたいないうのって今まさにもう出てきてるってことなんですね。
古屋
そうみたいですね。データ上は設備投資計画とその実績なんかを、突合した日経新聞の記事なんか見ると、非常に大きなギャップになってきてるんですよね。計画が未達になってきている。その背景を丹念に取材していくと人手不足があるという指摘をされていらっしゃいますね。これは最悪のシナリオですよね。何が何でも設備投資をしなきゃいけないわけです。今後の社会というのは。人ができることを、人じゃなくてもできるように変えていって、そこに機械をどんどん入れていく。東京日本橋で、アメリカに次いで2カ国目で、食べ物を配送するサービスが、このぐらいの緑色の移動した機械で道路を走って配送するというですね、ことを今やってらっしゃいますけど、Uberさんですね。サーブっていう機械ですけどね。こういうのをガンガン入れていかなきゃいけないわけですよね、日本はね。これすら人手不足できなくなってきてると。シンギュラリティですよ、今後の日本社会におけるシンギュラリティ、特異点ですよね。そういった悪循環が止まらなくなる。生活効率の低下が経済効率の低下に結びついて経済効率の低下が生活効率に結びつくという最悪の雪玉がですね、転がり始める。この特異点が放っておくと起こっちゃうんですよね。今この瞬間はトリプル高になってるんでちょっと盛り上がってますけど、これはその前半の局面でしかないということですよね。
馬田
だからこそ今、手を打たないといけないっていう、そういう危機感が古屋さんの中にもあるという感じでしょうか?
古屋
はい、全くです。
馬田
ぜひ、解決策の辺りも少し聞いていきたいんですけども、今回本の中だと半分過ぎたあたりから、こういう解決策あるんじゃないかっていうところで、いくつか機械化、自動化、ワーキッシュアクト、仕事におけるムダ改革みたいなところが挙げられていると思います。この辺り少し簡単にぜひ解説いただいて、あと読んでほしいところとか思い入れのあるところをぜひ教えていただいてもよろしいでしょうか?
古屋
すごく大きな社会課題ですのでいろんな解決策あると思うんですよ、私達が挙げたもの以外にもたくさんの解決策がある。基本的にはでも、すごい巨大な社会課題、15年日本が取り組んでいかなきゃいけない社会課題になるのは間違いないんですけど、基本的に2パターンしかないですよね、解決の方向性って。1パターンは労働需要を減らす、もう1パターンは労働供給を増やすと、この2パターンしかないんですよね。我々はこの2パターンについて四つの解決策を提唱しているんですけどその四つの大解決策を出したというその四つの意味は、今既にやってる人がいるというアクションなんですよね。つまり机上の空論ではなくて、すでに実践者がいて、その成果が出始めている。小さいかもしれませんが、そういった芽が出ている取り組みなんですよね。ですから、取り組もうと思ったら取り組めると。もう既に。こういったものとして四つの解決策を挙げさせていただいてます。そういう意味でやっぱり一番どれかっていうことではなく、全部必要なわけですけど、そういう意味ではね、徹底的な自動化、機械化みたいなことはもうマスト中のマストですし、もっと言えば日本に大きな可能性がある分野でもありますよね。サーブ、さっきのUberさんのロボットみたいなのを入れる手も誰も反対しないわけですよ。はたまた、介護現場にロボット入れようみたいな話、そういう研究されてる企業も増えてきていますが、これも誰も全く反対しないわけじゃないですか。自分の仕事が奪われるという感覚がないわけですよね。人手が足りなさすぎるわけですから。そういったようなこの自動化、機械化の分野というのは、日本に様々な国の最先端技術が持ち込まれるという状況が今後起こっていくんだろうなと思うんですよね。加えて、ワーキッシュアクトということも提唱して、これは僕が作った造語なんですけど、詳しはググっていただければと思うんですが、研究してる中で、人間は普通に生きていても、何とはなしに誰かのことを助けちゃってるなということに気づきまして、しかもその助けてることがシャドーワークみたいな義務的なものじゃなくて、何かが楽しくてとか何か報酬があってとか、気持ちが豊かになるからみたいな理由でやってるってこと結構あるなと。これをひっくるめて、ワーキッシュアクト。今だから、副業、兼業とかね、ボランティアとか、コミュニティ活動とかね、もしくは趣味とか娯楽とかそういうふうに言われてるものの総称なんですけど、本業の片手間に誰かの労働ニーズを満たす活動、これの総称をワーキッシュアクトと呼んでるんですよね。ワークにボーイッシュ、ガーリッシュのishをつけて、何か社会に機能してるっぽいアクト、活動ですね。ワーキッシュアクトは、ちょっと具体的に話さないとイメージが掴みづらくてですね、一つだけ申し上げると、例えばスマホゲームで電柱点検してるっていうそういうサービスが生まれてるんですよね。位置情報を使ったスマホゲーム。TEKKONというアプリなんですけど、これで電柱とかマンホールを撮影すると、レアなマンホールとか電柱だとポイントがたくさんもらえて、アバターをもっと可愛く着飾れるとか、ランキングが上がって、みたいな、そういう普通にゲームなんですけど、位置情報を使った。撮影した写真はですね、日本地図上にワーッとマッピングされてるわけですよ。ただもちろんただのゲームなんですけど問題はですね、このデータを使って電柱点検してるんすよね。電気会社が既に。東北電力さん、北陸電力さん、こういった会社がスマホゲームの素人が撮った写真ですよ。電柱点検、初期の目視点検の代替として使っている、そのデータを。こういった事例が出てきている。これだから別に参加者すごく意識高くて、この社会を何とか支えたいみたいなと思ったわけじゃなくて、ゲームなんですよね。暇つぶしです。楽しいからやってるだけなんですけどそれが結果として、誰かの労働需要を目指してると、そういったプラットフォームが日本発で作られつつあるんですよね。このTEKKONというサービスを提供してるWhole Earth Foundationさんはシリコンバレーに拠点のあるアメリカのスタートアップ企業ですけど、社長さんがおっしゃってたのは、アメリカとフィリピンとインドネシアと日本で展開しているらしいんですけど、日本のデータ量がぶっちぎり多いと、40倍らしいんですよ。これはゲームが好きだとかそういうこともあるかもしれませんけど、やっぱりエコシステムができてるからですよね。つまり人手不足なわけですよ、現場が圧倒的な。だからそのデータを買いたいという人がいるわけですよね。これがエコシステムを作り、ひいてはそのスマホゲームで遊ぶというユーザーに対していろんな提案とか関係ができるというプラットフォームができてきている。人手不足ということを背景にしてですね。ワーキッシュアクトですね。他にもちょっと派手なTシャツを着て、ランニングが趣味の人たちが走ると、それが見守り活動になって警察署から表彰されるとかですね、パトランって言うんですけど、またまたおてつたびとか有名になってますけどね。こういうイノベーションの可能性が日本にはあるということですよね。
馬田
今ワーキッシュアクトの話聞いていると日本のちょっと楽しみでやっているってところとは違うと思いますが、自治みたいな、自分たちで統治していく自治っていうところのあり方もちょっと変わってきそうかなというふうに思ったんですけど、ある意味その地方ですごくこの課題がもう激しく顕在化していく中で、この人手不足っていうところって、自治にどういうふうに影響していくのか、そしてワーキッシュアクトがどういうふうに影響していくのか、古屋さんの想像で構わないのでお教えいただいてもよろしいでしょうか?
古屋
極めて大きな影響を与えますよね。意思決定機能がやっぱ現場に寄り添っていかないと解決できないんですよ絶対。この問題ってまさに意思決定機能の問題そのもので、ボトルネックは現場の生活維持サービスがあるわけですから、この社会全体のボトルネックが。そうなったときに、どんな問題がどういう課題、どんな理由によって原因によって起こってるかっていうことを、一番正確にわかるのは、現場で働かれてる方々なんですよね。ですから、そこに一番縁遠いのは東京のヘッドクォーターなわけですよ。ですから全然的外れな政策がどんどん打たれる可能性があって、だから意思決定機能の問題ですよ、まさに。中央集権的なあり方って今後の生活維持サービスの逼迫という問題に対してものすごく相性が悪くて、私はイノベーションが起こるとするならば、現場からだと絶対思ってます、今後の日本において。資本の集積とかが必要な分野においては日本は絶対太刀打ちできないですよね。アメリカとか中国に対して。なんですけど現場における圧倒的な課題感とそこにおけるちょっとしたインベンションという意味では、日本は絶対負けないと思うんですよね。だってそこの逼迫した現状と課題感っていうのは、もう現実のものとして、どこの国よりも早く起こるわけですから。ですから、私は意思決定機能の問題になってくる。意思決定機構というか、どれだけ現場に近いところで、生活者のためになる判断ができるような社会を作っていくのかというところに、今後の日本のサステナビリティを占う大きなポイントがあると感じますね。
馬田
なるほど。解決策の中にもしかしたらそういう地方自治とか地方分権みたいなところも含めた大きな政策提言が必要なのかもしれないですね。
古屋
あと担い手の問題ですよね。パブリックの担い手というか、もう本当に馬田さんなんかね、もう釈迦に説法だと思うんですけど、公の担い手というのが多元化しているわけじゃないですか。PEPさんとかに来られてる方々見ると本当そう感じるわけですけど、そういうこともすごく大きな希望ですよね。中央集権的な機構が生活者のために頑張るっていうだけでは到底追いつかないですよね。様々な視点、様々な担い手、様々なレイヤーから意見と解決策が出てくる、という時代になるだろうなと感じますね。
馬田
本の中でも最後の方に、これからはお客様が神様ではなくて、働き手が神様だみたいな社会になっていくみたいなことを書かれてましたが、もしかすると地方自治における行政サービスなんかも、これまで行政サービスと生活者がどっちかというと提供者消費者みたいな関係性だったのが今後もしかしたら、それがどんどん混ざっていくのかもしれないなというふうに、先ほどお話聞いてて思いました。私からもう一点よろしいでしょうか?
古屋
はい。
馬田
今回本の中で、確かになと思ったご指摘として、外向けの良い観光みたいな産業があることによってそこに人が吸い込まれていって、逆にそういう高付加価値な雇用を作っちゃうと、生活維持サービスの担い手が不在になるみたいな、最近でもニセコでなんかみんな山に行ってしまうっていうふうなニュースもあったりしましたが、まさに起こってることで、このバランス取るのって結構難しいなと思うんですけど、どうなんでしょう。
古屋
本当に多分大きな問題になってくる、熊本とかでも既に起こってることですよね。もしくはね様々な地域で、外資系のスーパー、大きなスーパーが時給すごく高い。時給で採用すると地域の店には全然人手がいなくなって、みんなそこで働きたがるみたいなことを言われてますけど、それに加えて、日本は製造業、そして今後は多分インバウンド、あと情報通信、こういった外向けの産業、外貨を稼げるような産業ということは当然大切なわけですよ。ただそういったとこの方が付加価値が高くて生産性高くて給与も高く払えるという今の構造がそのまま続いてしまうと、生活が成り立たなくて仕事どころじゃなくなりますよね。ですから、日本の今後の成長戦略をもし考えるのであれば、そのスタートラインにあるべきは、生活維持サービスの生産性を上げるということなんですよね。これによって生活維持サービスをまず成長産業にする生活維持サービスに設備投資を集めて人材を集めて、そこに様々な最先端の技術を掛け合わせて、日本の生活維持サービスを成長産業にすることがスタートラインに必ずある。それによって、まず労働供給量を余らせなきゃいけないわけですよね。それによって初めて、今労働集約的になっててブラックホールのように今医療介護に吸い込まれるわけですから、マクロのデータを見ると。1.4倍になっているわけですよ、労働投入量が。既に日本マイナスなのに、労働投入量ですよ。就業者数は増えてますけど労働投入量、就業者数×平均労働時間、つまり、マンアワーで日本人がどれぐらい労働供給してるかっていう労働投入量がですね、もう既にマイナスになってるんですよ日本は。そんな中でですよ、医療介護だけで1.4倍になってるんですよ10年間で。今後どんどん増えるわけじゃないすか、ご高齢の方増えるので。ブラックホールのように現役世代を全員生活維持サービスに突っ込まなきゃいけなくなるわけですよ。この状況を突破するために、絶対に最初のスタートラインにあるのは、生活維持サービスを成長産業にする。私はこれを省力化産業と言うんですけど、省力化産業こそが日本の突破口を切り開く最大にして唯一の一手かなと思ってますね。
馬田
ぜひ最後の章のあたりの話にも入ってきたので最後の章の話を聞きたいんですが、最後の2040年の新しい働き方という章の中で、もうぜひ古屋さんが、ここは推しておきたいとか、特にここでも挙げておきたいみたいなところがあればぜひ教えていただいてもよろしいでしょうか?
古屋
分岐点に立ってると思うんですよ。率直に言って。日本は大きな分岐点に立っていって、その違いっていうのは、些細なことなんじゃないかなと思ってるんですよね。放っておいても、先ほどトリプル高、トリプルアップと言いましたけど、賃金と物価と設備投資が増えていく可能性は非常に高いわけですよね。人手不足なわけですから。そういう中で、それを社会としてどう意味づけるかってことですよね。例えばとある介護福祉施設さんとか、とある運輸企業さんとかがね、地方の。すごく頑張って社長さんが決断されて設備投資をしたりとか、女性が活躍できる、シニアが活躍できるっていう仕組みを作ったとするじゃないすか。それを、単なるその会社が頑張ったねとか儲かっていいねとかで終わらしちゃいけないってことなんですよね。それに意味をつける。つまり今後の日本の労働供給制約という最大の課題に対して戦っているフロントランナーだという意味づけをしていく。こういったことがその分岐点を良い方向にもたらす多分些細なポイントだと思うんですよね。そういった意味では、私が地方に入って、様々な地域でいろんな経営者の方々とか自治体の方々と話をしてるのは、そういった理由でして、私が微力ながら、ちょっとでもそういった試行錯誤、トライアンドエラーをですね、何か意味づけられれば、社会を少しでも良い方向に変えるための参考になるんじゃないかなと思って、この本にもたくさんの地域の事例を盛り込んでおりますけれども。
馬田
もう既に古屋さん動かれているということですが、これまでマクロな議論が多かった中で古屋さんみたいなおひとりであるとか、私達個人としてこの働き手不足の社会に向き合うために何をすればいいのか、ぜひ古屋さんがもうフロントランナーとして走られてるので、何かアドバイスがあったりすれば教えていただいてもよろしいでしょうか?
古屋
情報よりも行動が価値を持つ時代になってますよね。本当に様々な試行錯誤をされている方々を見るにつけ、結局トライアンドエラーでしかないわけですよ。正解なんてないわけですから。そうすると、過去の情報など全く何の意味もないわけで、ちょっとしたアクションの価値が相対的に高まってるなと、逆説的に高まってるなというふうに感じますよね。そのアクションをしてみて、それをどう意味づけるか、この2ステップですよね。行動と意味づけ。
馬田
なるほど。ありがとうございます。では、あともう一点お伺いしたいこととして、こうした労働力不足の議論、特に直近は賃金向上みたいなところがメディア、政策で中心になってきていますが、今後この労働供給力不足に関わる政策議論においてぜひ古屋さんがこういう政策の議論が日本国内で起こるといいなっていう政策の観点でもし何かヒントあれば教えていただいてもよろしいでしょうか?
古屋
目指すべき社会指標が変わってくると思うんですよね。一つ代表的なのはGDPですよね。国民総幸福みたいな議論もあると思うんですけど、僕が申し上げたいのは、GDPなんて減るに決まってるんですよ、日本は。もっと言えば1人当たりGDPなんて減るに決まっているわけで、なぜかっていうと、高齢者が増えてるからですよね。就業者に占める高齢者の割合ってすごい増えてるわけすよね、日本って。ご高齢の方って働いてたとしても、70歳以上の方って平均週29時間とかなんですよね、労働時間で。現役世代って大体38時間とか働いてるわけじゃないすか。平均で。減るに決まってるわけじゃないですか。70歳以上の就業者が多いわけですから。するとそれは1人当たりGDPが減ることになりますよね。だって、短時間しか働いてないんだから、そんなに1人当たりGDPが増えるはずないじゃないですか。それって、要するにGDPが増えないってことなにるわけですよ。GDPは増えないに決まってるわけですよ。GDPを追い求めていては駄目で、私が申し上げたいのは、1時間当たりのGDPですよね。つまり労働生産性なわけですけど、これが減ったらおしまいなんですよ。就業者に占める高齢者の割合がどんどん増えてる中でつまり、絶対にそれを追求しなきゃいけないのは、総労働投入量1単位当たりのGDP、つまり労働生産性ですよね。これを上げることを国家目標にするべき。これが下がりだしたらおしまいですから、日本は。実は日本これはまだ全然、国際的に見てですね、悪くない水準でここ10年ぐらいは上がってきてるんですよね。もちろん絶対値がすごく低いので、元々。産業構造の問題もあって、そういったものなんですが、労働生産性、1時間当たりいくら稼げるかというとですよ、一人一人の話に基づいて。所得じゃなくて1時間当たりの時給です。こっちを追求しなきゃいけない。もっとミクロの話になると、例えば失業率みたいなものもね、もちろん大事ではありますけど、もう日本はほぼ完全雇用なので、もうずっとここ10年ぐらい。今後もそういうのが続いていきますから。私が今後政策的に課題視しなきゃいけないのは、この令和の転換点後の労働市場においての最大の問題っていうのは、所得が上がってない人ですよね。例えば3年とか、5年とかの単位で所得が、もしくは1時間当たりの所得でもいいかもしれませんけど、その所得が上がっていない方々に対してどういった政策的なアプローチができるかということを検討しなくちゃいけませんよね。
馬田
民間からこうしたところに関しても政策提言とかしていくことも増えてくるのかなというふうに思ってるので、一つのKPIとして、全体のGDPじゃなくて時間当たりで見るべきであるとかいうふうなところは議論のベースにするべき論点かなというふうに思った次第でした。ありがとうございます。では、そろそろ最後の時間になってきますのでぜひ最後に古屋さんから、この本の読者、あるいはPEPのオーディエンスの皆様にメッセージいただけると幸いです。
古屋
本当に最後に申し上げたいのは、日本の未来って、割と詰んでるんですよね。そういう意味では。詰んでるように見えるわけですよ。私もこういう説明を、今日の前半みたいな課題の話をしますと、感想に「絶望しました」とか、「詰んでるような気がしました」とか、あと大学生と話したときに出てくるのは「海外に移住します」みたいな、本当にそういう意見が出てくるんですけど、待てよと。私はその後そういうのを見て申し上げているのは、すごいとんでもないチャンスになるかもしれないぞと、この日本社会の現状の延長にあるのは。だって、社会実装された発明、人類の社会に実装されてきた発明を見ればそこには必ず必要性があるわけですよね。困りごととか、何かをこうしたい、こうしたら便利じゃないか。こう困っている、こういった必要性がある。必要は発明の母なわけですから、日本社会って冷静に考えると、労働需要がめちゃくちゃあふれるわけじゃないですか。労働需要ってズバリこの必要性の塊なわけですよね。社会全体でこんなことをして欲しい、こんなことできる人いないかという求める声が高まる。この必要性を背景にして、おそらく今後15年の日本社会というのは発明の時代になるんじゃないかというふうに私は考えています。その様々な発明の芽が、既にワーキッシュアクトとしてまとめた話とか、こういった中からおそらく日本発のユニコーンが出てくると僕は思ってますし、はたまた省力化産業と申し上げましたけども、これもおそらく、期待を込めてですけど、介護の現場とか、物流の現場とか、そういったところ出身のイノベーター、ユニコーン企業の創設者が生まれてくるんじゃないかなと思ってるんですよね。しかもそこには人類社会全体の今後の未来が懸かってるわけですよ。だって日本は第1ウェーブですけど、もう日本はトップランナー中のトップランナーですけど、この人口構成の変化に関しては。第2ウェーブで韓国とか、第3ウェーブ、スペイン、イタリアそして中国ですよね。その後もどんどん続いていくそういった切っ先に日本はいるわけですよね。そういう意味ではね、人類社会全体が、どんどん寿命が長くなっていって、長寿化していって、でもその長寿化していくこと自体を私は心から喜べる社会を作っていきたいなと思っています。皆さんもぜひご一緒させていただければと思いますので、楽しみにしています。
馬田
ぜひ一緒に作っていければと思います。機を機会にしてニーズを解決していくイノベーションがどんどん生まれていく社会を本当に一緒に作っていけばと思ってますので、ぜひ引き続きお願いします。
古屋
お願いします。
馬田
今日は古屋さんにお越しいただいて『「働き不足1100万人」の衝撃』に関して、いろいろとお伺いしました。古屋さん本当にありがとうございました。