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市民が公共に参画する上で欠かせない政策起業力を発揮するために、メディアの力は決定的に重要です。多角的な視点を提供するジャーナリズムを、特に次世代を担うインターネット・メディアという場所で応援していきたい。そのような想いから、昨年「PEPジャーナリズム大賞」を創設しました。
アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)は2022年7月に公益財団法人国際文化会館と合併致しました。合併後も、「多様な世界との知的対話、政策研究、文化交流を促進し、自由で、開かれた、持続可能な未来をつくることに貢献する」とのミッションの実現を目指し、政策起業力を高めていくため、引続き、インターネット上でのジャーナリズムを担う方々を応援して参ります。
最後に、本賞は、政策起業家プラットフォーム(PEP*)の一環として運営しております。この場をお借りして、PEPをご支援してくださっているスポンサーの皆様に感謝申し上げます。
* 「政策起業家プラットフォーム」(Policy Entrepreneur’s Platform: PEP)は、公のための課題意識のもと、専門性・現場知・新しい視点を持って課題の政策アジェンダ化に尽力し、その政策の実装に影響力を与える「政策起業家」を支援し、公共政策のプロセスへの国民一人一人の参画を促し、より政策本位の政治熟議を生み出すことを目指すプラットフォームです。
PEPジャーナリズム大賞は、インターネット空間において、多様にして包容力と活力のある自由主義と民主主義を育てるジャーナリズムの醸成を目的として創設されました。初年度も今年も、応募作はいずれもジャーナリズムの高みを競う力作揃いでした。ファイナリストも含め、選ばれた受賞作は、私たちが知っているつもりになっていたことを問いただし、日常の風景を見直し、社会変革を駆動するきっかけをつくってくれる、まさに創設の趣旨を反映する作品です。選考委員会は、PEPジャーナリズム大賞を通して、社会に新たな風を呼び込む高い能力をもったジャーナリストたちの作品を広く世の中に知ってもらうとともに、ジャーナリズムの力、およびその未来のあり方を考えていきたいと思います。受賞されたみなさん、おめでとうございます。そして応募してくださったみなさん、ありがとうございました。
3部門の受賞作の中で、最も優れたものを大賞とします。大賞賞金は部門賞金との合計で150万円、部門賞は各30万円、特別賞は各15万円です。
柳原三佳氏の「交通事故で息子が寝たきりに――介護を続ける親の苦悩と、『親なき後』への不安」は、交通事故に遭った子どもの介護をする家族の苦悩に光を当て、さらに受け皿となる障害者施設が絶対的に不足しているこという「課題」を明るみに出した。
木野龍逸氏による「不思議な裁判官人事」は、裁判官のエリート度合いという評価軸について、アカデミックにみると疑問があるという評価もあったものの、一般にはほとんど知られていない裁判官人事を丁寧に検証している。
執念の取材を評価して特別賞とした。
林香里 (委員長)
東京大学大学院
情報学環教授
治部れんげ
ジャーナリスト/ 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
竹中治堅
政策研究大学院大学
教授
西田亮介
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院
准教授
山脇岳志
スマートニュース
メディア研究所 所長
船橋洋一
公益財団法人国際文化会館 グローバル・カウンシル チェアマン 兼 API創設者
PEP ジャーナリズム大賞を含むPEPの活動は以下の方々に協賛をいただいております。
URL:https://peplatform.org/
問い合わせ先:政策起業家プラットフォーム 事務局
選考委員コメント
PFOAは国際的には強度の有毒性がある危険な化学物質として知られており、映画にもなった。
しかし、日本ではほとんど知られておらず、主要メディアも大きく取り上げてこなかった。今回対象となった記事では、専門家の調査結果とともに、PFOAを使用している企業の担当者ならびに地方自治体担当者への取材インタビューをし、さらに情報公開請求などでより詳しい情報を入手しながら、高濃度土壌汚染が放置されている状況について詳述している。
環境省、自治体、そして企業の責任を問う姿勢は、ジャーナリズムの古典的機能である権力監視を着実に実践しており、審査員全員が調査報道として高く評価し、今年度の「PEPジャーナリズム大賞」とした。