起業や新規事業立ち上げなど、これまでになかったサービスやプロダクトを開発・展開していくときには、今世の中にある規制や制度に引っかかってしまうことがあります。
生成 AI で助成や応募要件の曖昧さや矛盾をチェックする
助成やプログラムなどの公募要領は、公平性・透明性を担保するために詳細な応募要件を設けています。しかし、実務においては、要件が複数項目にまたがり相互に影響していたり、応募要件に該当しているか分からない、 「グレーゾーン」 が残っていたりして、申請者が応募を迷ってしまったり、申請を受けた後で担当部署側で判断に困ってしまったりすることがあります。
これを防ぐため、応募要件を事前に生成 AI でチェックし、よりクリアな要件にブラッシュアップしたり、よくある質問に最初から記載しておいたりすることで、申請者・担当部署双方がスムーズに対応できるようになるのではないかと思います。
今回は、PEP が運営している PEP for Climate Tech Startup Studio の応募要件を ChatGPT でチェックしてみました。
※PEP for Climate Tech Startup Studio はプログラム自体は 2025 年 7 月現在も運営しておりますが、新規募集は終了しており、再開の予定もございません。ご了承ください。
1. 生成 AI への入力
以下のプロンプトを入力しました。
あなたは気候変動対策スタートアップ支援プログラムの審査担当者です。次のウェブページに記載された応募要件を確認し、要件を「満たしているかどうか判断が分かれそうな」スタートアップの応募例を **3〜5件** 挙げてください。それぞれの応募例について、
* **悩みどころになる要件**(該当するか微妙な要件)
* **判断が分かれる理由**
を簡潔に説明してください。
* 対象ページ: [https://peplatform.org/pep-for-climate-tech-startup-studio](https://peplatform.org/pep-for-climate-tech-startup-studio)
* 出力形式(例)
```
1. 応募例(1行で要約)
- 悩みどころになる要件: 〇〇, △△
- 判断が分かれる理由: …
```
箇条書きで、日本語で回答してください。
2. 出力結果
例えば以下の 3 件の例を挙げてくれました。
1. 海外リモートチームが DACCS(直接空気回収)装置を開発、起業は東京を予定
- 悩みどころになる要件: 毎週の個別会議参加
- 判断が分かれる理由: 海外在住ゆえ時差が障壁となり得るため2. 中小企業向けの GHG 会計 SaaS を提供し、削減効果はユーザー依存
- 悩みどころになる要件: 年間100 万 t-CO₂e削減, PEP指定領域に該当するか
- 判断が分かれる理由: 自社サービスだけでは定量的に 100 万 t を達成できるか不透明で、領域リストにも “カーボンアカウンティング” が直接は記載されないため3. 大手メーカー社内の“水素地下貯蔵”新規事業チーム
- 悩みどころになる要件: 起業前または既起業の独立スタートアップであること
- 判断が分かれる理由: まだ社内プロジェクト扱いのため、独立起業とみなせるかが微妙なため
例えば、「1. 海外リモートチームが DACCS 装置を開発」の悩みどころである時差については、現プログラムが日本国内の方の参加を前提として考えてしまっていたため、応募要件上は想定できていない点でした。(実際にはこの例はありませんでしたが、この点が理由で検討から外されてしまった方がいらっしゃったとしたら申し訳ないな…と思いました。)
※なお、2. は指定領域外の応募は対象外、3. は新規事業のアイデア創出は対象外のため、いずれも対象外となる事例です。
このように、作った要件のエッジケースを事前にチェックする、というひと手間も、生成 AI を使えば即時に可能です。これによって、見落としていた要件や矛盾も発見できるかもしれませんので、ぜひ使ってみてください!
皆様からの生成 AI の活用事例についてもぜひお聞かせください。以下のフォームからご投稿をお待ちしております。