2025 年現在、生成AIに対して大きな注目が集まっています。そして今後も発展して行くであろう生成AIは、多くの人たちの知的労働をエンパワーしてくれる可能性を秘めています。
生成 AI を使って政府系審議会の検討動向を大まかに把握する
政策や制度設計に関する検討会や有識者会議では、議事概要や配布資料が丁寧に整備され、公開されています。 しかし実際にそれを活用しようとすると、次のような壁に直面します。
- 資料が膨大で、そもそも一通り読むのが大変
- なんとか目を通したとしても、議論の全体像や論点の流れをつかみにくい
- 「どの回で何が論点になり、どう進展したのか」が見えない
結果として、今どんな方向で議論が進んでいるのかを把握するには、時間も労力もかかってしまいます。
生成 AI を活用すれば、こうした資料群から次のような視点で全体感を整理できます。
- 各回の主要な議題と合意事項をコンパクトに一覧化
- 特定テーマごとに、どのように議論が繰り返され・深まってきたかを把握
- 直近の会議で何が注目され、何が新たに論点化したかを短くまとめる
まず、内容を掴みたい会議の公開資料(議事概要、議事録、配布資料など)を全て用意します。これも、生成 AI を使ってプロンプトを作成・実行することで、自分でコードを書かなくても簡単にスクレイピングが可能です。
(本記事ではこの部分は割愛し、手元に公開資料がダウンロードできている前提で進めます。)
その資料を生成 AI に読み込ませ、例えば以下のプロンプトを実行することで、会議の全体感や論点別の動向、最新の注目トピックなどを概観することができます。
以下は、ある政策会議における複数回分の資料(配布資料・議事概要・参考資料など)です。
これらをもとに、以下の3つを日本語で整理してください。
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①【会議別サマリー表】
各回(第1回~第N回)ごとに、以下の5項目を含む「会議別サマリー表」を作成してください。
| 回次 | 開催日 | 主な議題・討議内容 | 合意・決定された事項 | 新たに提示された論点(新規) | 引き続き検討とされた論点(残課題) |
|------|--------|----------------------|--------------------------|-----------------------------|----------------------------------|
- 表形式で、**横スクロール不要な構成**としてください。
- 各セルには1~3文の**簡潔な自然文**で記述してください(箇条書き不可)。
- 内容は資料本文から読み取れる範囲で記述してください。不明な項目は「記載なし」で可。
- 開催日は本文・ファイル名・フォルダ名などから推定できる場合に明記してください。
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②【テーマ別タイムライン】
主要な政策テーマごとに、**どの回で何が議論されたか、どのように進展・変化したか**をタイムライン形式で整理してください。
- 各テーマごとに「第◯回:●●●」のように、回次と要点をセットで記述
- 議論の進展・継続性・合意形成の有無などに注目してください
- 表または箇条書き形式(横スクロール不要)
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③【最新動向ハイライト(400字以内)】
直近の会議(例:第5回以降)において議論された、**重要な政策的論点や方向性の変化**を要約してください。
- 日本語で400字以内
- 注目すべきキーワード・構想・課題提起などを優先的に記載
- 出典がわかる場合は以下のように括弧で示してください:
- (第5回資料2 p.3)
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【出力ルール 共通】
- 表記は自然な日本語で、横スクロールを必要としない構成としてください
- 過剰な専門用語の羅列は避け、政策関係者が読んで理解できるレベルで記述してください
- 必要に応じて、「不明」「記載なし」「議論されていない」などを明示して構いません
なお、こうした大量のドキュメントの処理においては、Google 社の NotebookLM が非常に有用な生成 AI ツールの一つです。
生成 AI の活用は、「全文を要約する」ためだけのものではありません。各回のポイント、テーマごとの議論の流れ、直近の注目事項を把握することで、大量の資料を効率的に俯瞰することが可能になります。
全体感を大まかにつかんだ後に、知りたいポイントに注目して精読するという使い方もお勧めです。
皆様からの生成AIの活用事例についてもぜひお聞かせください。以下のフォームからご投稿をお待ちしております。