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政策起業力シンポジウム2019開催概要 ②(全体パネル)
全体パネルディスカッション—録画映像と議論のポイント要約
2019年9月9日、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)・東京大学公共政策大学院(GraSPP)共催 「政策起業力シンポジウム2019」の第1部 全体パネルディスカッション 「令和時代の政策起業-政・官・民/社・学の多様なステークホルダーで考える-」の録画映像と、議論のポイント要約です。
全体パネルディスカッションの概要
モデレーター
船橋 洋一 (一財)アジア・パシフィック・イニシアティブ 理事長
登壇者
小林史明 自由民主党 青年局長代理・行政改革推進本部事務局長
須賀千鶴 世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター 長
鈴木寛 東京大学公共政策大学院 教授
藤沢烈 (一社)RCF 代表理事・新公益連盟事務局長
※登壇者の所属・肩書は講演当時(2019年9月9日)のものです。
全体パネルディスカッションでは、様々な立場で政策課題解決に尽力するプロフェッショナルをお招きして、政策起業家という新たなキャリアの姿を議論しました。モデレーターである船橋洋一が各登壇者に対し、自身の政策起業家としての来歴を尋ねる形で進行しました。
様々なセクターからの、「政策起業家」というキャリアと問題意識
「社会起業家」から「政策起業家」へ
藤沢烈 (一社)RCF 代表理事からは、震災復興におけるコミュニティ支援政策などを例にとり、「NPO・社会起業家の課題解決の方法論は、大別して、①課題を社会に認知してもらう“社会化”、②事業を通じ課題解決に取り組む“事業化”、そして、③法令・予算等、政策的な手法を組み合わせた“制度化”がある」との説明がなされました。
その上で「NPO・社会起業家は従来、“制度化”に向けた取組み弱かった」との問題意識と、NPOが“制度化”≒政策起業に積極的に取り組む必要性をお話されました。
データ・熟議に基づくガバナンスとシンクタンクの重要性
鈴木寛 東京大学公共政策大学院 教授は、通産官僚時代のIT政策への関わり、大学勤務・参議院議員時代の教育政策への関わりなど、自らの政策起業家としての成功と挫折についてお話になりました。
「EBPM(Evidence Based Policy Making)が熟議を経て合意形成されるガバナンス」「“政策による政策形成”と“政策による選挙”を作りたい」との問題意識と、議員時代のシンクタンク創設経験を踏まえ、商業メディアの限界を克服するシンクタンクの重要性をお話になりました。
「より良いガバナンスの仕掛人」—第四次産業革命で重要性を増す政府の役割
須賀千鶴 世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長は、行政官としての来歴・視点から、今後の政策課題解決における国家・行政の使命につきお話がありました。
須賀氏は、第四次産業革命時代におけるテクノロジー・ビジネスのあるべき社会実装に向け、各国政府の間で優れたガバナンスを巡る熾烈な競争が巻き起こっているとの認識を示されました。その上で国家・行政官が、「仕掛け人」として、未来を見据えた賢慮に基づく政策を打ち出していく重要性を強調されました。
昭和型を超えた、新しい政治家の役割
最後に小林史明 自由民主党 青年局長代理/行政改革推進本部事務局長(当時)からは、福山市の市民協働の事例を紹介しつつ、昭和のような「陳情の処理」を超えた、新たな政治家の役割についての問題意識を提起されました。
ご自身の「テクノロジーの社会実装で個人を自由にし、社会をフェアにする」との政治理念も踏まえ、国民との双方向的コミュニケーション・ハブとしての政治家の役割や、複雑化する政官関係の中で、行政改革等を通じた「政治と行政の役割の明確化」「政策人材の流動化によるキャリアの選択肢の増加」などについても問題提起されました。