はじめに 政策起業を用いたアントレプレナーシップ教育をしている中で、私たちが気づいたのは、多くの学生が「市民からの要望や意見」をそのまま解決しようと試みてしまう、ということでした。...
ロジックモデルや ToC の叩き台を自動生成する『ロジックモデルキャンバス』のプロトタイプを公開しました
非営利組織において、事業の「設計図」として広く用いられているのが「ロジックモデル」*や「Theory of Change (ToC: 変化の理論)」です。これらを用いて自分たちの事業を整理することで、日々の活動から成果までのつながりや、自分たちの社会的インパクトに至るまでの仮説を可視化することができます。
しかし、ロジックモデルや Theory of Change を自力で最初から組み立てるのは、負担が大きく、多大な時間・労力を要します。また KPI 設定のための調査法の設計や、因果関係の妥当性を見極める作業なども、大きな壁となりがちです。
そこで PEP では、「目指しているインパクト」を入力するだけでロジックモデルや Theory of Change の叩き台を自動生成できるプロトタイプを開発しました (以下、ロジックモデルという言葉に統一します)。叩き台があることで、何が合っていて何が違うのか、といった議論をチームですぐに行えるようになります。
本プロトタイプは以下の URL からアクセス可能です。
https://pep-logic-model-canvas.replit.app/
(*) 本記事および本プロトタイプではロジックモデルの詳細な説明や活用方法には踏み込みません。詳しく知りたい方は、文部科学省 大臣官房政策課 政策推進室(2023)『「ロジックモデル」作成マニュアル』などの既存リソースをご参照ください。
本ツールの使い方
本プロトタイプは上記のような画面構成となっています。
1️⃣ インパクトの入力
最初に、ロジックモデルのゴールとなる「目指すインパクト」を入力します。ロジックモデルを考える上での制約条件(予算の制約や活動規模・形態を規定しうる外部要因など)や、対象となる地域を入力することも可能です。
また、本プロトタイプを試しに用いたい場合は、「サンプルを生成」をクリックすることで目指すインパクトが自動的に入力されます。
2️⃣ モデルの生成
「モデルを生成」をクリックすることで、入力したインパクトを実現するためのロジックモデルが自動的に生成されます。また、ロジックモデル実現の前提条件、および実現を左右しうる外部要因がモデル下部に生成されます。
3️⃣ ノードの追加・編集
ロジックモデル上の各ノード、および画面下部の「前提条件」「外部要因」内の各項目をクリックすることで、既存のノードの編集が可能です。
また、画面左下「ノード追加」から、ロジックモデル内の各ノードを追加することが可能です。前提条件および外部条件は画面下の対応する「+」アイコンをクリックして追加してください。
3.1 KPI の追加・編集
各ノード内の既存の KPI の編集ボタンをクリックすることや「追加」をクリックすることで、KPI の編集や追加が可能です。KPI 追加時には、指標名を入力して「自動生成」をクリックすることで生成 AI に残りの項目を記入してもらうことも可能です。
3.2 関係性の追加・削除
「関係性」セクションにおいては、選択したノードと前後のノードとの関係性を追加・削除することが可能です。追加する際は対応する「+」アイコンを、削除する際は表示されているノードの名称をクリックしてください。
3.3 「前後を再設計」
新規ノードを追加した際に「前後を再設計」をクリックすることで、関連する前後のノードやノード間を生成 AI が自動的に再設計し、「新規ノード追加」や「関係性追加」といった変更の提案を行います。
個別に提案を確認し、必要な変更を承認することでモデルに変更が反映されます。
4️⃣ 共有
画面上部の「共有」をクリックすることで、生成したロジックモデルの共有 URL が発行されます。発行された URL にアクセスすることで、生成したモデルをいつでも参照することが可能です。
おわりに
本ツールはあくまで、ロジックモデルを簡易に自動生成し、検討や議論のたたき台として活用いただくことを目的としたプロトタイプです。この叩き台を参考にしながら、チームで「叩く」ことを通して、自分たち自身が納得できるロジックモデルを作るようにしてください。
また、本プロトタイプにより生成されたロジックモデルを詳細な分析や最終的な意思決定の材料として利用する際には、必ずご自身でのファクトチェックや内容の精査・調整が不可欠です。生成 AI による自動生成の特性上、抜けや不正確な情報が含まれる可能性もあるため、十分ご注意のうえご活用ください。
事業や活動の立ち上げや政策立案時の初期設計、教育現場での学習教材としてなど、さまざまな場面でご活用いただければ幸いです。
本プロトタイプを活用された際にはぜひ pep@ihj.global やお問い合わせフォームまでご一報ください。