今週の PEP Think:人材とイノベーション、新しい危機の時代のキャパシティ
海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考えるポッドキャストシリーズ 「PEP Think」。
今週は、「人材とイノベーション:変わる働き方」と「新しい危機の時代のキャパシティ」をテーマに、2本のエピソードをお届けしています。
「人材とイノベーション:変わる働き方」
こエピソードでは、「人材とイノベーション:変わる働き方」をキーワードに、RAND と Brookings の最新レポート/コメンタリー3本を取り上げます。
高齢化・スキル移行・イノベーション実装という一見ばらばらなテーマを、「人材戦略」と「社会インフラ」という共通軸で結び直して議論しています。
-
アンリタイアと地方の労働力危機(RAND)
米国地方部の深刻な人手不足と、高齢者の「アンリタイア」(退職後の再就労)の広がりを分析し、日本のシルバー人材センターや地方の人手不足との共通点を整理します。
40%という高い復帰率や「働きたい/働かざるを得ない」動機の両面を踏まえ、高齢者が働き続けやすい制度設計や就業環境のあり方を考えます。 -
スイスの職業訓練制度と社会インフラ(Brookings)
スイスで若者の約70%が職業訓練制度(アプレンティスシップ)を選び、企業の約60%がプラスのROIを達成している背景として、国家資格制度・職業団体・中間支援組織から成る「社会全体で支えるインフラ」に注目します。
日本の高専・専門学校、日本版デュアルシステムとの接点を手がかりに、「企業任せにしない人材育成インフラ」の設計を検討します。 -
山火事対策イノベーションと3つの構造的障壁(RAND)
山火事対策技術がパイロットからスケールしない理由として、サイロ化、限られた・分散したリソース、消火への過度な偏重という3つの構造的障壁を整理します。
DARPA や ARPA‑E など他分野のイノベーション機関の知見を踏まえ、日本の防災・減災テックや気候変動適応における「実装のデザイン」への示唆を議論します。
「新しい危機の時代のキャパシティ」
このエピソードでは、「新しい危機の時代のキャパシティ」をキーワードに、気候変動適応と国家の実行力(state capacity)に焦点を当てた2つの論考を取り上げます。
ソーシャルインフラと有能な政府という、危機対応の両輪をどのように設計し直すかを、日本の制度・政策への含意とともに考えます。
-
気候適応とソーシャルインフラ(Stanford Social Innovation Review)
気候リスクを「ハザード・エクスポージャー・キャパシティ・制度とルール」の4要素に分解する視点や、インドの事例から見えるソーシャルインフラの3層構造を解説します。
ハードな堤防やエアコンだけに頼るのではなく、「誰がどこでどんな備えを持って暮らしているか」という分布を変え、開発と適応を統合して住まい・労働・ガバナンスを見直す必要性、日本の防災計画やインフラ更新への示唆を議論します。 -
制度の刷新、効果的な政府、繁栄(Niskanen Center)
Niskanen Center がリバタリアン系シンクタンクから「有能で実行力のある政府(state capacity)」志向へと転換した背景を整理します。
住宅・エネルギー・医療・保育の供給制約に焦点を当てる「アバンダンス・アジェンダ」や、公務員制度の近代化、許認可・調達・デジタル化を含む「State Capacity Initiative」の取り組みを紹介し、日本の規制見直しや行政のバックオフィス改革、GovTech の可能性への含意を検討します。
変化と危機が重なる時代に、どのような制度や仕組みを整えれば、人びとの生活とビジネスに持続的な余裕と機会を生み出せるのか──PEP Thinkを通じて、引き続き皆さんと一緒に考えていければ幸いです。