学生政策起業コンテストの審査のポイントについて詳しくお伝えします。
『要望➡社会課題コンバーター』のプロトタイプを公開しました
はじめに
政策起業を用いたアントレプレナーシップ教育をしている中で、私たちが気づいたのは、多くの学生が「市民からの要望や意見」をそのまま解決しようと試みてしまう、ということでした。
市民からの要望や意見は大切で貴重なものです。ただその要望の背景を考えずに、要望だけをそのまま解決しようとしてしまうと、応急処置を繰り返してしまうことになりかねません。そのため本来は、要望や意見の裏にある「原因」や「社会課題」を見つけて、そこに対処していく必要があります。
そこで PEP では、最新の大規模言語モデル(LLM)を活用し、1 つ ~ 多数の意見を入力すると、その背後にある原因や社会課題を推測する、というコンセプトプロトタイプを作成しました。
このプロトタイプを使うことで、意見のまとめが簡単になるほか、その背後にある社会課題のヒントを得ることができます(以下は表示例)。
プロトタイプは以下の URL からアクセス可能です。なお、あくまで試験的なプロトタイプとしての公開である点についてはご承知おきください。また、個人情報等の入力はお控えください。
https://pep-voice-to-issue-tool.replit.app/
本ツールの使い方
1️⃣ 意見の入力
まず、意見や要望のリストをテキストにして記入してください。1意見ごとに改行するようお願いします(意見内で改行があると、そこで別の意見として扱われるので注意してください)。
要望の対象となる地域を任意で入力することも可能です。
また、本プロトタイプを試用するために「サンプル要望を生成」ボタンでサンプル要望を自動生成することも可能です。
2️⃣ 分析結果の表示と調整
要望を入力した後に「分析開始」をクリックすることで、
- 類似の要望をまとめ、クラスター化およびカテゴリへの分類
- 設定した頻度・影響度・緊急度に基づいた各要望クラスターのスコアリング
が行われます。
課題クラスターは計算された優先度スコアに基づいて降順に表示されます。また、「優先度スコアリング設定」からスコアリングの計算式を変更することも可能です。
3️⃣ 理想像の変更
本ツールでは、各課題クラスターに対して「理想像(ブループリント)」も同時に生成されます。課題とは「理想と現状のギャップ」であるため、理想が変われば課題も変わってきます。最初の理想はかなり高めに設定されているため、理想状態を編集し、ある程度現実的なものにすることで、より精緻なアプローチや成功指標を生成することが可能です。
理想像を編集したのち「保存して社会課題と理想の詳細を再生成」ボタンをクリックすることで、編集済みの理想像に対応する形でアプローチや成功指標などの詳細も生成されます。
4️⃣ 社会課題の深掘り
寄せられた要望に直接対処することは「焼け石に水」となることが多く、要望や意見の裏にある原因や社会課題を見つけて対処することが重要である、と冒頭で述べました。本ツールでは、各課題クラスターに対して、要望の背景にあると思われる「推測される社会課題」も自動で生成されます。
4.1 「検証方法の提案」
本ツールで生成される「推測される社会課題」は、あくまで LLM によって推測された課題です。本ツールで推測された課題に対処する際には、そもそもその社会課題が実在するか、仮に実在するとすればどのような規模なのかを調査する必要があります。
本ツール上の各課題に付随する「検証方法提案」ボタンをクリックすることで、LLM が適切な検証方法を提案します。
4.2 「深掘り」
社会課題を分析する際には、課題が発生している原因を深掘りすることが重要です。各課題の「深掘り(別ツール)」ボタンをクリックすることで、PEP で開発した「政策課題 分析・提言ナビゲーター」に移動することができます。すでに社会課題が入力された状態となっているため、そのまま分析を行うことが可能です。
4.3「深く解析」
「この要望を深く解析して更新」ボタンをクリックすると、当該する要望に関連する Web 情報を収集し、課題に対するより深い分析を実行します。課題に対する定量的分析や関連するデータソースを確認することができるため、より精緻な課題の把握・分析を行いたい際に利用することをお勧めします。なお、この解析機能の実行には数分の時間を要します。
5️⃣ レポート出力
課題クラスター表示画面の上部から「レポート」をクリックすることで、クラスターに関する概観統計、および特に重要な課題に絞ったまとめが端的に表示されます。印刷用途としてお使いください。
また、「Excelエクスポート」をクリックすることで、各クラスターの詳細などのデータをExcel形式でダウンロード可能です。
おわりに
集めた要望や意見を効果的に活用するためには、その背後にある課題をどのように突き止めるかが重要です。課題の発見・整理・検証の一助として本ツールをご活用ください。
ただし、LLM が示す推測や検証方法が必ずしも現実の実態を正確に反映するとは限りません。分析結果や提案を活用する際は、必ず出典の確認やご自身による調査、現場や当事者の視点を取り入れたファクトチェックを十分に行ってください
本プロトタイプを活用された際にはぜひ pep@ihj.global やお問い合わせフォームまでご一報ください。